会社の最新の状態を登記簿に反映する商業登記においては、登記が必要な事項が発生したら2週間以内に登記することが法律で定められており、この期限を超えてしまうことを登記懈怠(けたい)といいます。
登記を懈怠してしまうと、過料と呼ばれる制裁金の支払いが科される可能性がありますが、それ以上に注意すべきなのが、12年間登記簿に変更がないまま経過することによる「みなし解散」です。これだけの長期間登記に変更がないのであれば経営実態がない会社とみられてしまうという制度です。
この「みなし解散」は、あくまで登記簿上の変化があるかないかで判断され、普通に営業している会社でも該当する可能性があるのが厄介なポイントです。
本記事では、みなし解散の条件に該当してしまわないために、特に役員登記の運用において注意すべきポイントを解説します。
役員登記懈怠によるみなし解散を回避するには?
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役員登記とみなし解散の関係
みなし解散の条件となる「12年間登記簿に変更がない」は、登記簿内の項目であればすべてが対象になります。
本店移転、代表取締役の住所移転、目的変更、商号変更、株式数の変更など、登記簿にはさまざまな項目がありますが、なぜ役員登記が重要なのでしょうか?
それは「役員変更に関する登記は会社経営していれば必ず発生する」からなのです。
オフィスや社長の住所、目的、社名等が変わらず、増資などもしていなければ、登記申請する必要はありません。
ただし、株式会社の場合、役員だけは任期満了に伴った退任や重任といった登記申請が必ず発生します。
なので、この必ず発生する役員登記すらしていない会社は経営実態がない、というのがみなし解散の根拠になっているわけです。
役員任期は非公開会社の場合、最大10年まで伸長できます。
みなし解散の12年という条件は、役員任期を最大限伸長しても必ず登記が発生する期限として設定されているのです。
みなし解散を回避するために注意すべきこと
みなし解散を避けるために最も効果的なのは「役員任期ごとに発生する登記申請を確実に行う」ことになります。
ではそのために普段からどんなことに注意すればいいのでしょうか?
①自社の役員任期を確認しておく
役員(取締役)の任期は、会社法で「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」と定められています。
また、会社によっては任期を短縮したり、伸長したりしている場合がありますので、まず自社の定款などを確認し、任期が何年になっているかを確認しておきましょう。
②株主総会の前に現在の役員の任期を確認する
任期満了の場合、定時株主総会の終結時がそのタイミングになります。
該当する役員がいる場合、総会の議事録への記載が必要になりますので、遅くとも株主総会の準備にとりかかるタイミングで役員全員の任期を確認しましょう。もちろん、任期が満了しているのであれば、重任(再任)や退任の手続きも必要になります。
③期中に就任、辞任した役員がいる場合は注意
すべての役員が任期満了するならともかく、なかには期中に辞任したり、定数補充のために就任するケースもあるでしょう。
期中の就任の場合、実質的な任期が2年未満になる場合がありますので注意しましょう。
④確認だけでなく確実に登記申請しておく
任期を確認するだけでなく、退任、重任が生じたら登記申請が必要です。
株主総会や選任の手続きだけして安心せずに、登記申請までをセットで管理しましょう。
⑤任期をお知らせしてくれるサービスを検討する
司法書士やネット上のサービスによっては、役員任期を登録しておくと、任期満了時に通知してくれるサービスもあります。
こういったサービスに登録することで管理の手間を減らすのも良い方法です。
役員変更が生じたら必ず登記申請しましょう
重任(再任)や任期満了による退任など、役員(取締役)に関する変更が生じたら速やかに選任および登記申請の手続きを行いましょう。
登記申請期限である2週間を超えて登記していない場合、過料(かりょう)という制裁金が科される場合があります。もし懈怠してしまっていることがわかったら、すぐに選任および登記の手続きをし、登記簿に最新の役員状況を反映しておきましょう。
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おわりに
役員の任期管理は慣れてしまえばたいしたことありませんが、株主総会や登記など法律的な手続きが必要なため、慣れていない人にとっては難しい手続きです。必要な手続きを理解し、余裕をもって準備できるようにしましょう。
執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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