「会社を設立したら何か書類を出さないといけない…とは聞いたけど、どこに何を出せばいいの?」
法人を設立したばかりの経営者から、よく出る疑問です。税務署への届出はある程度イメージできても、社会保険や労働保険の手続きとなると、年金事務所?ハローワーク?労働基準監督署?と混乱してしまう方がほとんどです。
この記事では、スタートアップや法人成りしたての経営者に向けて、どの窓口に、何を、いつまでに提出するかを、わかりやすく整理します。
会社設立したら社会保険はどこに申請?年金事務所とハローワークの役割分担まとめ
- まず「社会保険」と「労働保険」を分けて理解しよう
- 年金事務所への届出:健康保険・厚生年金保険の加入手続き
- 法人は強制適用事業所
- 何を提出するの?
- いつまでに?
- どこに提出するの?
- 労働基準監督署への届出:労災保険の手続き
- 労災保険は「1人でも雇ったら」加入義務あり
- 何を提出するの?
- いつまでに?
- どこに提出するの?
- ハローワークへの届出:雇用保険の加入手続き
- 雇用保険は「従業員を雇ったとき」に必要
- 何を提出するの?
- 加入対象となる従業員は?
- いつまでに?
- どこに提出するの?
- 手続きの流れをまとめると
- └─ 年金事務所へ:被保険者資格取得届(従業員分)
- よくある疑問・注意点
- Q. 社会保険料の負担が心配…
- Q. 書類が多くて大変…電子申請は使える?
- 社会保険・労働保険の手続きの3つの窓口
- GVA 労務書類なら会社設立後に必要な社会保険書類を自分で作成できます
まず「社会保険」と「労働保険」を分けて理解しよう
申請先の話をする前に、大前提として社会保険の種類を確認しましょう。一口に社会保険と言っても、その中には様々な種類の保険があります。労働保険も含めて「広義の社会保険」と捉えることもありますが、今回はより詳しく「狭義の社会保険(健康保険・厚生年金保険)」と「労働保険(労災保険・雇用保険)」を分けて整理します。
種別 | 内訳 | 申請先 |
|---|---|---|
社会保険 | 健康保険+厚生年金保険 | 年金事務所、年金事務センター |
労働保険 | 労災保険 | 労働基準監督署 |
労働保険 | 雇用保険 | ハローワーク(公共職業安定所) |
各種保険の手続きは、この3つの窓口に、それぞれ別々に届出を行う必要があります。社会保険の手続き=年金事務所だけではないので、注意してください。
年金事務所への届出:健康保険・厚生年金保険の加入手続き
法人は強制適用事業所
株式会社や合同会社などの法人は、従業員の有無にかかわらず、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の強制適用事業所となります。つまり、社長一人の会社であっても、設立した時点で加入義務が生じます。
「従業員がいないから、まだいいや」は通用しません。ここはよく誤解されるポイントです。
何を提出するの?
年金事務所に提出する主な書類は以下のとおりです。
事業所の加入手続き(最初に行う届出)
- 健康保険・厚生年金保険 新規適用届:事業所として社会保険に加入する届出。最も重要な書類です。
- 登記事項証明書(法人登記簿謄本):原本(コピー不可)
※その他、要件に該当する場合以下の書類が必要になる可能性有り
-事業所の所在地が確認できる書類(賃貸借契約書など)
-法人番号指定通知書等のコピー
被保険者(社長・従業員)の加入手続き
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届:代表者(社長)自身も含め、加入する人ごとに提出。
- 健康保険被扶養者(異動)届:配偶者や子どもなど扶養家族がいる場合に提出。
いつまでに?
事業所を設立した日(法人登記日)から5日以内が提出期限です。
「え、5日?!」と驚かれる方も多いのですが、これは法律上の期限です。現実的には過ぎてしまうケースも少なくありませんが、気づいた時点でできるだけ早く手続きしましょう。遅れても罰則が即座に科されるわけではありませんが、社長自身の健康保険が使えない状態が続くことになります。。
どこに提出するの?
会社の所在地を管轄する年金事務所または年金事務センターの窓口に持参するか、郵送で提出します。日本年金機構のウェブサイトから管轄の年金事務所を調べることができます。なお、電子申請(e-Gov)を利用することも可能です。
労働基準監督署への届出:労災保険の手続き
労災保険は「1人でも雇ったら」加入義務あり
労災保険は、従業員を1人でも雇用した場合に加入義務が生じます。雇用保険と異なり、労働時間や雇用期間の条件はなく、アルバイトやパートも含む全従業員が対象です。
何を提出するの?
- 労働保険 保険関係成立届:労働保険(労災保険・雇用保険)の適用事業所として登録する届出。これを労働基準監督署に提出することで、雇用保険の手続き(ハローワークへの届出)がスムーズになります。
- 届出後、概算保険料申告書を提出し、概算の保険料を納付します。
いつまでに?
従業員を雇用した日の翌日から10日以内に保険関係成立届を提出する必要があります。
どこに提出するの?
会社の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。
ハローワークへの届出:雇用保険の加入手続き
雇用保険は「従業員を雇ったとき」に必要
ハローワークへの届出が必要になるのは、従業員を雇用したタイミングです。社長一人だけの会社では、原則として雇用保険の加入は不要です(代表取締役は雇用保険の被保険者になれません)。
従業員を初めて採用した場合、まず適用事業所として届出を行い、続いて従業員を被保険者として登録する流れになります。
何を提出するの?
事業所の届出(従業員を初めて雇用したとき)
- 雇用保険 適用事業所設置届:雇用保険の適用事業所として登録する届出。
従業員の加入手続き
- 雇用保険 被保険者資格取得届:採用した従業員ごとに提出。
提出の際には、会社の登記事項証明書、雇用契約書または労働条件通知書、賃金台帳などの書類が必要になります。
加入対象となる従業員は?
すべての従業員が対象になるわけではなく、以下の条件を満たす人が被保険者となります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
- 学生でないこと
パートタイムやアルバイトでも、この条件を満たせば加入対象です。
いつまでに?
- 適用事業所設置届:従業員を雇用した日の翌日から10日以内
- 被保険者資格取得届:採用した月の翌月10日まで(実務上は採用した月内に提出するのが望ましい)
どこに提出するの?
会社の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に提出します。こちらも電子申請が可能です。
手続きの流れをまとめると
【会社設立直後(従業員なし・社長のみ)】
└─ 年金事務所へ:新規適用届 + 被保険者資格取得届(社長分)
【初めて従業員を雇用したとき】
├─ 労働基準監督署へ:労働保険 保険関係成立届 +概算保険料申告書
├─ ハローワークへ:雇用保険 適用事業所設置届 + 被保険者資格取得届
└─ 年金事務所へ:被保険者資格取得届(従業員分)
よくある疑問・注意点
Q. 社長(代表取締役)も社会保険に加入しないといけないの?
はい、必須です。 法人の代表取締役は、役員報酬をもらっている場合、たとえ少額であっても社会保険に加入しなければなりません。自分は国民健康保険でいいという選択肢は、法人の代表者には原則として認められていません。
Q. 社会保険料の負担が心配…
社会保険料は会社と従業員(または社長)が折半して負担します。月額報酬に応じて保険料が決まるため、役員報酬を低めに設定することで保険料を抑えるという選択をするスタートアップも少なくありません。ただし、将来の年金額や傷病手当金の受給額にも影響するため、慎重に検討しましょう。
Q. 書類が多くて大変…電子申請は使える?
社会保険・労働保険の手続きは、e-Gov(イーガブ)電子申請システムを使ってオンラインで行うことができます。窓口に行く手間が省けるので、ぜひ活用を検討してください。ただし、電子証明書の取得が必要な場合もあるため、初回は少し準備が必要です。
社会保険・労働保険の手続きの3つの窓口
会社設立後に必要な社会保険・労働保険の手続きは、3つの窓口に分かれています。
やること | 窓口 | タイミング |
|---|---|---|
健康保険・厚生年金保険の加入 | 年金事務所、年金事務センター | 設立から5日以内 |
労災保険の加入 | 労働基準監督署 | 初めて採用した日から10日以内 |
雇用保険の加入 | ハローワーク | 初めて採用した日から10日以内 |
どこに行けばいいかわからないという状態のまま放置していると、健康保険の資格取得が遅れ一時的に医療費が全額自己負担になってしまったり、後から遡及加入の手続きが煩雑になったりします。面倒に感じるかもしれませんが、設立・採用後できるだけ早く対応することが、結果的に手間を減らすことにつながります。
「何をどうやって準備すればいいかわからない」という方におすすめなのがオンライン書類作成サービスです。
GVA 労務書類なら会社設立後に必要な社会保険書類を自分で作成できます
GVA 労務書類なら、会社設立後に提出が必要な社会保険の書類を、必要事項を入力するだけで作成・提出することができます。
「書類の種類が多くて何から手をつければいいかわからない」「どの窓口に何を出せばいいかわからない」という方でも、画面の案内に沿って情報を入力していくだけでスムーズに対応できます。
さらに、オプションプランを利用すれば、提出時に添付が必要な登記事項証明書もセットで受け取れるため、法務局に取りに行く手間も省けます。
設立直後の忙しい時期に、書類手続きで時間を取られたくない方、専門家に頼む前にまず自分でやってみたいという方にとって、心強いサービスです。
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