会社設立後の社会保険の手続きを解説。5日以内の期限に注意

会社設立後の手続き
投稿日:2026.10.21
会社設立後の社会保険の手続きを解説。5日以内の期限に注意

会社設立後の社会保険の手続きは、管轄の年金事務所(または事務センター)に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を事実発生から5日以内に提出することから始まります。

あわせて、加入する役員・従業員ごとに「被保険者資格取得届」、家族を扶養に入れる場合は「被扶養者(異動)届」も同じ5日以内に出します。設立時から自分以外に役員がいるなら、その分も設立直後に必要になります。

つまずきやすいのは、この期限が設立登記の申請期限(2週間)よりも短いことです。しかも法人は、役員報酬を受け取る社長1人だけの会社でも加入の対象になります。「従業員を雇ってから考えればいい」と後回しにすると、期限を過ぎてしまいます。こんな重要なことなのに誰かが教えてくれるわけではない、という厳しい現実があるのです。

この記事では、設立後に必要な社会保険の手続きと期限の一覧、新規適用届の添付書類と出し方、一人社長の加入、従業員を雇ったときの労働保険、国民健康保険からの切り替えまでを解説します。

会社設立後の社会保険手続きと期限の一覧

まず、設立後に発生する社会保険・労働保険の手続きを期限順にリストアップしました。

役員だけの会社なら上の3つが、従業員を雇う場合ならすべて必要になります。


手続き

期限

提出先

健康保険・厚生年金保険 新規適用届

事実発生から5日以内

年金事務所

被保険者資格取得届

事実発生から5日以内

年金事務所

被扶養者(異動)届

事実発生から5日以内

年金事務所

労働保険 保険関係成立届

成立日から10日以内

労働基準監督署

雇用保険 適用事業所設置届

設置日の翌日から10日以内

ハローワーク

雇用保険 被保険者資格取得届

翌月10日まで

ハローワーク

労働保険 概算保険料申告書

成立日から50日以内

労働基準監督署など


出典:日本年金機構「新規適用の手続き」、兵庫労働局「労働者を雇用したときの手続き」


税務署や自治体への届出を含む全体像は、会社設立後にやること13項目と提出期限の早見表リストにまとめています。

一人社長の会社でも社会保険への加入が必要なことに注意

日本年金機構は、法人の事業所を事業主のみの場合を含めて強制適用事業所としています。個人事業は常時5人以上の従業員がいる場合に限られますが、株式会社は従業員がゼロでも役員がいれば適用事業所になります。


代表者や役員も、法人から労務の対価として報酬を受けていれば被保険者になり、保険料は会社と本人で折半します。以下は東京都・40歳未満・標準報酬月額30万円の場合の月額の目安です(令和8年度の料率)。


保険

料率

月額(会社+本人の合計)

健康保険

9.85%

29,550円

厚生年金保険

18.3%

54,900円

子ども・子育て支援金

0.23%

690円


40歳以上65歳未満は介護保険料(1.62%)が加わります。子ども・子育て支援金は2026年4月分からの徴収です。健康保険料率は都道府県や協会けんぽや健康保険組合か、によっても異なるので自分が対象となるものを確認しておきましょう。

新規適用届の出し方と添付書類

新規適用届は、会社が社会保険の適用事業所になったことを届け出る書類です。事業所の所在地を管轄する年金事務所または事務センターに、電子申請・郵送・窓口持参のいずれかで提出します。


法人の添付書類は法人(商業)登記簿謄本の原本です。コピーは不可で、提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものに限られます。登記上の本店と実際に事業を行う場所が違う場合は、賃貸借契約書のコピーなど所在地を確認できる書類も必要です。


取り方は登記事項証明書(登記簿謄本)の取り方、費用と最短の方法を解説を参照してください。

「5日以内」でつまずきやすいポイント

設立登記の申請期限は2週間ですが、社会保険は5日以内です。期限が短いうえに、次の事情が重なります。


  • 登記簿謄本は登記完了後でないと取れない。 完了までの日数次第で、5日以内に添付書類がそろわないことがあります
  • 「事実発生」の起点が会社によって違う。 設立日、最初の役員報酬の支払い、従業員の雇い入れなど、書類によって起点が異なります。
  • 税務署・自治体への届出や口座開設と時期が重なる。慌ただしい時期に提出が必要になるため提出忘れにならないように気をつけましょう。


GVA TECHが行った労務手続きに関する調査では、設立直後に期限内に提出できなかった経験した人が25.2%いました。書類がそろわない場合や起点が判断しにくい場合は、提出前に管轄の年金事務所に確認しておくと手戻りを防げます。

役員・従業員とその家族の加入手続き

新規適用届と同時に、加入する役員・従業員ごとに「被保険者資格取得届」を5日以内に出します。扶養に入れる家族がいる場合は「被扶養者(異動)届」も5日以内です。こちらは被保険者が事業主を経由して提出します。設立後に従業員を雇ったときも、そのつど資格取得届が必要です。


出典:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 手続きガイド」

従業員を雇ったら労働保険の手続きも必要

労働保険(労災保険・雇用保険)は、労働者を雇ったときに必要になる手続きです。役員は原則として労働者に当たらないため、原則として役員だけの会社では労働保険の手続きは発生しません。


従業員を1人でも雇ったら、冒頭の一覧の下4つが加えて必要になります。

就業規則や36協定など、雇い入れに伴う労務書類は会社設立後に必要な労務関連書類、就業規則と36協定の順序を解説で整理しています。

国民健康保険・国民年金からの切り替え

個人事業から法人化した場合などは、社会保険の加入後に国民健康保険の脱退手続きを自分で行う必要があります。自動では抜けられません。


  • 届出先:住所地の市区町村役場
  • 期限:原則として事由が生じたときから14日以内(例:川崎市)
  • 必要なもの:会社の健康保険に加入したことが分かる書類(資格確認書など)、マイナンバーが分かる書類


届け出が遅れると国民健康保険料の請求が続き、あとで還付の手続きが必要になります。必要書類は自治体ごとに異なります。


社会保険の手続きは自分で行うほか、専門家である社会保険労務士に依頼する方法もあります。会社設立の全体の流れは株式会社設立の流れ9ステップ 登記申請の方法と費用で確認できます。


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