「ストックオプション(SO)」にはいくつかの種類があるのをご存知でしょうか?
「無償ストックオプション」と「有償ストックオプション」
「税制適格ストックオプション」と「税制非適格ストックオプション」
「株式報酬型ストックオプション」「通常型ストックオプション」「信託型ストックオプション」など、導入を検討し始めるとさまざまな選択肢が登場することでしょう。
その中でもおそらく検討の初期フェーズで決めることになるのが「無償型か有償型か」になります。
本記事では有償型と無償型のストックオプションのそれぞれについて特徴や違いを解説します。
なお、税制適格ストックオプションについては以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:税制適格ストックオプションとは?
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ストックオプション(SO)の種類
まず、この2種類のストックオプションの違いを簡単に解説します。
無償型ストックオプション
発行されたストックオプション(SO)が無償で付与される。発行時に購入の原資が不要なので従業員から取締役まで誰にでも付与しやすい。
有償型ストックオプション
発行されたストックオプションを、付与される者が有償で購入する。発行時において発行価額の払込みが必要となるため、従業員に対するインセンティブ報酬としては利用しにくい。
つまり最も大きな違いは「ストックオプションの付与対象者から見て発行時に費用負担が発生するか」ということになります。
それではそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
※有償型および信託型ストックオプションについて詳しくは以下の記事も参考ください
関連記事:ストックオプションとは?基礎知識から手続き、登記申請方法までを解説
無償型ストックオプションとは?
もっとも一般的なストックオプションで、無償で付与することができます。創業間もないスタートアップ企業では従業員もまだあまりお金を持っていない場合が多いこともあり、付与時にお金がかからないのは魅力です。
また、無償型であれば適格要件を満たすことで「税制適格ストックオプション」の導入が可能です。従業員がストックオプションを行使し株式を取得した時点では税金がかからず、最終的に売却して利益が出た時に譲渡取得としてのみ課税される制度です。
売却前に先行課税されることもなく、税負担の仕組みがわかりやすいので、ストックオプションという制度の趣旨ともマッチする制度といえます。
メリット
・無償で付与できるので、付与対象者の出費や手間が少なく済む。
・税制適格要件を満たせれば、従業員や取締役など付与対象者からみてインセンティブの効果が高くなる
・税金や株式についての知識があまりない従業員でも後でトラブルになりにくい
デメリット
・発行する企業にとっては損金算入ができない
・現行の制度では、税制適格要件を満たせるのはほぼ上場企業に限定されるため、上場以外のイグジットに対応できない場合がある
・税制非適格となった場合、キャピタルゲインによる利益を得る前に先行課税されてしまう可能性もある。
なお、税制適格要件のうち代表的なものは以下になります。
・付与対象者が社内又は子会社の役員・従業員であること
・行使期間が付与決議後2年を経過した日から10年(設立5年未満の非上場会社の場合は15年※)を経過する日までであること
※令和5年度税制改正により延長
・権利行使額の上限が年間1200万円であること
・1株あたりの権利行使価額が発行時点の株価以上であること
・ストックオプションの譲渡禁止が規定されていること
・権利行使で得た株式は証券会社等に保管委託等されること
有償型ストックオプションとは?
読んで字のごとく、付与時にお金がかかるストックオプションです。
公正価格で新株予約権を購入し、権利行使価額と権利行使時点の株価との差額で利益が得られるという制度です。なんといっても付与時に費用がかかるので、若いメンバーの多いスタートアップでは自己資金の負担を敬遠されてしまうのがネックです。
メリット
・税制上のメリットのあるストックオプションを発行できる
・税制適格要件のような制約がないので、自由な設計ができる
デメリット
・付与時に費用負担が必要なため、付与対象者の経済力によって差が出てしまう場合がある
ストックオプションを発行したら登記申請が必要です
株式会社が、ストックオプションを含む新株予約権を発行したら、割当日から2週間以内に会社の登記簿に変更を申請する必要があります。
ストックオプションの登記で記載される項目は多岐にわたります。
・新株予約権の名称(「第◯回 新株予約権」などの形式が多い)
・割り当てる新株予約権の数
・新株予約権の目的である株式の種類及び数又はその数の算定方法
新株予約権を行使した時に発行される株式の種類や数、算定方法が記載されます。
・新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
行使する際に払い込む金額(行使価額)などが記載されます
・新株予約権を行使することができる期間
・新株予約権の行使の条件
退職した場合は行使できない、といった条件が定められています
・会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件
・新株予約権の発行日
登記申請が必要な他の項目に比較して、ストックオプションの登記は複雑になる傾向があります。しっかり理解して専門家に相談するか、専用の支援サービスの活用をおすすめします。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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