有限会社で株券を発行するために必要な手続きをご存知ですか。中には、そもそも有限会社が株券を発行できること自体、初耳という方もいるかもしれません。
株式会社での手続きなら知っているけれど、有限会社についてはよく分からないという方もいるでしょう。また、そもそも有限会社なのになぜ「株券」を発行できるのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、有限会社で株券が発行できるようになった経緯から、株券発行に必要な法的手続きや必要書類まで、わかりやすく解説します。
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有限会社における株券とは?
有限会社において株券発行が可能となった経緯や株券の発行手続きを解説します。
なお、本記事における有限会社とは、2006年会社法施行時に移行した特例有限会社を指します。
特例有限会社は株券を発行できるようになった
2006年の会社法施行以前の旧有限会社では法律上、株券(持分についての有価証券)を発行できませんでした。
会社法施行時に有限会社法にもとづく旧有限会社が廃止され、当時存在していた有限会社は自動的に特例有限会社へと移行しました。
特例有限会社は名称に「有限会社」と入っているものの、法律上は株式会社として位置付けられています。具体的には、法律によって有限会社の出資1口が1株に読み替えられるなど、株式会社と同様の扱いを受けているのです。
また、取締役の任期がない点などの一部例外を除いて、法規制においても株式会社と同じ規制に服しています。
そのため、特例有限会社では、所定の手続きを経ることで株式会社と同じく株券が発行できるようになっています。
株券の発行には定款変更および登記申請が必要
特例有限会社が株券を発行するには、定款変更と登記申請の手続きを行うことが必要です。また、必要に応じて株券の発行手続きや株券の管理に関する社内規定を制定するとよいでしょう。
有限会社で株券を発行するには、定款への記載が必要となるため、定款変更手続きを行う必要があります。
定款変更手続きとしては、株主総会における定款変更決議が必要であり、定款変更は特別決議で行わなければなりません。特別決議では、総株主(頭数)の半数以上、かつ総株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要です。
定款変更手続きが終わると、株券発行についての登記申請手続きを行います。
登記申請は、定款変更の特別決議から2週間以内に行わなければなりません。期限に遅れると、登記懈怠(登記を怠った)として、裁判所から過料を課される可能性があるので注意しましょう。
登記手続きが完了すると、以下のように登記事項証明書に株券発行に関する記載が掲載されるようになります。
有限会社が株券を発行する背景
有限会社が株券を発行する背景には、株券を発行すると株式譲渡による権利移転を客観的に把握しやすいという点があります。出資者としても、株主であることを会社に対して証明しやすくなります。
権利移転としては、相続やM&Aによる株式の承継、譲渡など様々な場面が想定されます。
また、第三者割当による資本金の増資など、新たに出資を募る際にも株券発行のメリットは当てはまるでしょう。
ただし、注意しておきたいのは、株券の発行はメリットばかりではないということです。
会社からすると、株券の発行や管理に費用と手間がかかります。株主からみても、保管の手間や、紛失や偽造により権利者であることを証明できないリスクが生じるのです。
そのため、株券発行はメリットとデメリットをそれぞれ十分に検討した上で行う必要があるでしょう。
有限会社の株券発行の登記申請の流れ
有限会社における株券発行の登記申請の具体的な流れや、株券発行の注意点を解説します。
株主総会で定款変更を決議する
法律上、特例有限会社であっても、通常の株式会社であっても、株券を発行しないことが原則となっています。
そのため、登記申請を行う前に、株券を発行することを定款に記載する必要があるのです。
具体的には、株主総会において「株券を発行する旨の定め」を設ける定款変更の特別決議を行います。
特例有限会社の特別決議では、前述の通り、総株主の半数以上、かつ総株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要になります。一方で、通常の株式会社の特別決議は、過半数の議決権をもつ株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上が賛成すれば成立します。特例有限会社の特別決議は、通常の株式会社の特別決議よりも可決要件が厳しいので注意しましょう。
株券発行について登記申請する
特別決議によって定款に株券を発行する旨の定めを設けたら、株券発行に関する登記申請を行います。
前述の通り、法律では株券を発行しないことが原則です。
株券を発行する会社はその旨を登記に記載して、株券を発行する会社であることを広く周知する必要があるため、登記事項になっているのです。
登記手続きが完了すると、登記事項証明書に「株券を発行する旨の定め」の項目が追加され、株券発行会社であることが分かるようになります。
株券発行の登記申請には、定款変更に関する株主総会議事録などの添付資料が必要ですので、事前に準備しておきましょう。なお、添付資料の詳細は後述します。
登記申請書と添付資料が準備できたら、法務局へ提出して登記申請完了です。
登記申請は、前述の通り、定款変更の特別決議の日から2週間以内に行わなければなりません。
株券の記載事項や様式
登記手続きが完了したら、いよいよ株券を発行します。
株券に最低限必要な記載事項は、会社法において下記の通り決められています。
- 会社の商号
- 当該株券に係る株式の数
- 譲渡制限株式である場合はその旨
- 当該株券に係る株式の種類と内容(種類株式発行会社である場合)
- 当該株券の番号
- 会社の代表取締役の署名または記名押印
また、上記の法律上の記載事項の他に、株券には概ね下記の記載があることが一般的です。
- 会社の成立年月日
- 当該株券の発行年月日
- 当該株券に係る株主の氏名
なお、未上場企業の株券には決められた書式やテンプレートはありません。
そのため、株券にすかしを入れて偽造を防止したり、スキャナーで読み取れるOCR文字などを用いて管理を容易にしたりする会社もあります。
株券発行における注意点
株式会社においては、会社法施行前は株券を発行することが原則でした。
もっとも、前述した通り、現在では通常の株式会社でも、特例有限会社でも株券の不発行が原則になっています。
そのため、「株券を発行する旨の定め」を定款に設け、登記手続きを完了しても、株主から請求があるまで株券を発行しないという扱いも可能です。
また、株主側も、株券の紛失や盗難が心配な場合には、株券不所持を申し出ることで、株券の発行を受けないで済みます(会社法217条)。
ただし、株式を譲渡する際は、原則として株券の発行が必要になります。
株券発行会社の株式譲渡は、株券を交付しなければ効力が生じないとされているからです(会社法128条)
株券不所持の申出をしている場合でも、株式譲渡などのために必要があれば株主側から株券発行を請求でき、会社はその請求に応じなければならないことに注意しましょう。
有限会社の株券発行の登記申請の必要書類
有限会社の株券発行の登記申請手続きにおいて、法務局から提出を求められる書類を紹介します。
株券発行する旨の登記の必要書類
株券発行の登記申請に必要となる主な書類は以下の通りです。
登記申請書
登記に「株券を発行する旨の定め」の項目を追加するための申請書です。
書式は法務局で用意しており、詳しくは後述します。
株券発行に関する特別決議の株主総会議事録、変更後の定款
株券発行に関する定めが定款に記載され、株券発行会社になったことを証明するための資料として必要になります。
株主リスト
株主総会の特別決議における株主構成を示すために必要です。
なお、株主リストには、株主の氏名又は名称、住所、株式数、議決権数などの記載が必要になります。
参考:法務省【「株主リスト」は登記の添付書面となりました】
委任状(司法書士に委任する場合)
司法書士に登記手続きを依頼する場合に、依頼したことを示す資料として必要です。
司法書士に依頼する場合、書式は準備してもらえます。
登記申請書を作成し、添付資料の準備が整ったら、法務局に提出して登記申請を行います。
登記申請書の書式は法務局で用意しています。
登記の種類によっては、法務局のWebサイトで書式をダウンロードできる場合もあるので、参考にしてみてください。
準備した申請書や添付書類は、法務局に持参もしくは郵送して提出します。
司法書士に登記手続きを委任する場合は、申請書の作成や必要書類の提出手続きは司法書士が行ってくれるでしょう。なおこの場合は、法務局に提出する添付書類として、委任状が必要になります。
登記申請に必要な登録免許税
株券発行の登記手続きで必要となる登録免許税の金額は3万円です。
登録免許税の納付方法は、登録免許税と同じ金額の収入印紙を購入し、購入した収入印紙を登記申請書に貼り付けて納付する方法が一般的です。
収入印紙は、法務局内の印紙売り場で購入可能ですが、事前に郵便局で購入することもできます。
なお、現金で納付したい場合は、事前に銀行などの金融機関で納付することが可能です。この場合、納付に係る領収書を登記申請書に添付して法務局に提出します。
有限会社で株券を発行するには定款変更や登記申請が必要
有限会社であっても株券を発行することは可能ですが、株券発行の手続きとして定款変更と登記申請が必要になります。
定款変更を行うには株主総会の特別決議という厳格な手続きを行わなければなりません。また、登記申請では株主総会議事録などの必要書類を準備しておくことが必要です。特に登記申請は、手続きを懈怠した場合には過料が課せられる可能性があるため、事前に必要となる手続きや書類を把握しておきましょう。
また、株券の発行には、株主の権利移転を把握しやすくするメリットがある反面、株券の発行や管理に費用と手間がかかるというデメリットがあります。株券発行の手続きを準備する前に、メリットとデメリットを精査し、そもそも株券発行が必要なのかを十分に検討することが必要でしょう。
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