株主資本とは?株主資本の構成項目などわかりやすく解説

株式実務
投稿日:2023.01.11
株主資本とは?株主資本の構成項目などわかりやすく解説

株式会社に関する「株主資本」という用語があります。「株主」や「資本」に比べて、「株主資本」はやや専門的な用語と思われるかもしれませんが、その構成項目は明確に規定されており、それぞれの構成項目ごとに特徴があります。それでは、この株主資本とはそもそもどのような内容のものでしょうか。

本記事では、株主資本とは?株主資本の構成項目などについて、わかりやすく解説します。

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株主資本とは

株主資本とはその名の通り、株主の資本を意味します。株主の資本として様々な項目で構成されています。株主資本の定義や特徴などについて以下で詳しく説明します。

株主資本の定義

株主資本とは、株式会社の貸借対照表のうち「純資産の部」を構成する項目の一つです。会社法に基づく規則として「会社計算規則」が制定されていますが、その会社計算規則で「純資産の部」は次に掲げる項目に区分するよう規定されています(会社計算規則第141条第1項)。

1 株主資本
2 評価・換算差額等
3 株式引受権
4 新株予約権

株主資本は、株主による出資金額に加えて、株式会社が事業活動で得た利益等により構成され貸借対照表に表示されます。

株主資本と自己資本

自己資本とは、株主資本に「評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)」を加えたものです。

単体の貸借対照表をもとにする場合、株主資本に「評価・換算差額等」を加えたものが自己資本です。一方、連結の貸借対照表をもとにする場合、株主資本に「その他の包括利益累計額」を加えたものが自己資本となります。

有価証券や土地などの時価で変動する資産があると、評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)の金額が変動することがあります。評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)には、その他有価証券評価差額金や土地再評価差額金などが含まれます。そのため、自己資本は会社が持っている資産の「含み損益」を表すことがあり、会社の業績が順調だと増えていき、業績が不安定だと減っていくという特徴があります。

株主資本が株主にとって「確定した持ち分」であるのに対し、自己資本は評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)が含まれていることから、決算期によって価値が変動する「暫定の持ち分」といえます。

株主資本と純資産

純資産とは、資産から負債を控除したもので、貸借対照表の資産の総額から負債の総額を控除した差額として表示されます。会社に所有権があり自由に使用できる「資産」から、将来返済が必要となる「負債」を控除したものが「純資産」であるため、純資産を見れば会社が返済不要の資産をどのくらい持っているのかがわかります。

株主資本の構成項目

株主資本は複数の項目により構成されています。会社計算規則では、株主資本は次に掲げる項目に区分しなければならないと規定されています(会社計算規則第141条第2項)。

1 資本金
2 新株式申込証拠金
3 資本剰余金
4 利益剰余金
5 自己株式
6 自己株式申込証拠金

株主資本を構成する主要な項目について、それぞれの内容、特徴などを以下で解説します。

資本金

資本金とは、主に株式会社が株主から出資を受けた金額です。株式会社は設立時や株式の発行時に、株主より資金の払い込みを受けます。その際、株主より払い込まれる金額の2分の1以上を資本金とする必要がある旨、会社法で規定されています(会社法第445条第2項)。

この資本金は、銀行などから借りる借入金などの負債と異なり返済義務はありません。
また、資本金は会社の信用度を測るものさしとしても用いられることがありますが、必ずしも資本金の額が大きい会社が安定しているとも限りません。

資本金が大きくても、それ以外の株主資本がマイナスであったら純資産としては小さくなり、会社の財務状況はけっして良好だとはいえません。極端なケースでは株主資本のマイナスが大きく、債務超過になってしまう会社も存在します。

資本剰余金

資本剰余金とは、株式会社の設立時や株式の発行時などの資本取引によって発生する剰余金です。会社計算規則では、資本剰余金は(1)資本準備金と(2)その他資本剰余金の2項目に区分しなければならないと規定されています(会社計算規則第141条第3項)。

(1)資本準備金
前述のとおり、株式会社の設立時や株式の発行時に、株式から資金の払い込みを受ける金額の1/2以上を資本金としますが、その残りは「資本準備金」として計上しなければなりません(会社法第445条第3項)。

(2)その他資本剰余金
その他資本剰余金は、資本金・資本準備金の減少や自己株式を処分した際の処分差益などの資本取引から発生する剰余金です。資本性の剰余金の性格を有するため、資本剰余金に含まれます。

その他資本剰余金を原資として資本準備金を増加させることが認められています。また、利益の剰余金が減少して欠損となった場合は、その他資本剰余金で欠損を補てんすることが認められます。

利益剰余金

利益剰余金は一般的に会社が獲得した利益を積み立てた金額です。より厳密には、会社が生み出した利益の中から、配当などによって支出されなかった残額をいいます。

会社が行う取引には、「資本取引」と「損益取引」があり、この2つは明確に区別しなければなりませんが、損益取引により獲得された金額のうち、配当などで支出されずに株式会社に残る金額が利益剰余金です。

貸借対照表上も、「資本剰余金」と区別され、「利益剰余金」という項目が独立しています。
会社計算規則では、利益剰余金は(1)利益準備金と(2)その他利益剰余金の2項目に区分しなければならないと規定されています(会社計算規則第141条第4項)。

(1)利益準備金
利益準備金は、会社が獲得した利益をもとに積み立てられる準備金です。株式会社は、剰余金の配当を行う場合に、法定準備金(資本準備金及び利益準備金)が資本金の4分の1に達するまで、配当により減少する剰余金の10分の1の額を、資本準備金又は利益準備金として計上することが求められており、この場合に利益準備金が積み立てられることがあります。

(2)その他利益剰余金
会社が獲得した利益を積み立てた金額のうち、利益準備金以外がその他利益剰余金です。毎期の利益が累計された繰越利益剰余金や、繰越利益剰余金をもとに積み立てられた別途積立金や固定資産圧縮積立金などで構成されます。

この利益余剰金は、株式会社の利益が増えれば増加し、赤字決算や配当などがあれば目減りしていきます。

自己株式

自己株式とは、会社が取得して保有する自社の株式のことで、処分せずに会社で保有し続けることから、金庫株と呼ばれることもあります。

2001年の商法改正前は、出資の払い戻しとなり会社財産の維持が阻害されてしまうこと、インサイダー取引や株価操縦に利用される可能性があることなどから、自社の株式を保有することは原則として禁止されていました。

例外的に、自己株式の消却やストックオプションといった特別な理由があったときのみに自社の株式の取得が認められていましたが、2001年の商法改正により、自己株式の無制限・無期限の保有が認められるようになりました。

貸借対照表上は、純資産の部の株主資本において、控除項目として表示されます。

株主資本等変動計算書からわかること

株式会社では株主資本等変動計算書という決算書を作成します。この株主資本等変動計算書は財務諸表の一つであり、すべての株式会社に作成義務があります。

内容としては、貸借対照表から純資産の部分を抜き出して、その変動について詳しくまとめたものであり、純資産の各項目について、事業年度内の変動がわかりやすく表示されます。
なお、株式会社以外の合資会社や合同会社等では、会社への出資者は株主ではなく社員と呼ぶことから、「社員資本等変動計算書」という決算書を作成します。

株主資本の重要性

本記事では株主資本が複数の項目で構成されていることを紹介してきました。株主からの出資払い込みなどの資本取引により資本金や資本剰余金が計上され、会社の利益獲得により利益剰余金などが計上されます。

株主資本に有価証券の評価差額などの評価・換算差額等を加えた自己資本をもとにした自己資本比率という指標があります。この自己資本比率は会社の安全性を図る一般的な指標となっており、自己資本比率が高いほど安全性も高いと評価されます。

株主資本の増加は自己資本比率の上昇にもつながります。会社が事業を行っていく上で、株主資本を十分に充実させ維持していくことが重要です。

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執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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