スクイーズアウトとは?目的や手法、事例を紹介

株式実務
投稿日:2024.02.02
スクイーズアウトとは?目的や手法、事例を紹介

スクイーズアウトは、少数株主を強制的に排除する会社法上の手法を総称した用語です。スクイーズアウトを活用すると、少数株主が分散している会社でも、強制的に株式を買い集めて持株比率100%を目指せます。

この記事では、スクイーズアウトはどのような場面で活用されているのか、目的・背景を紹介したうえで、スクイーズアウトの具体的な手法や事例の解説をします。M&AやMBOを検討している企業の方は、ぜひ参考にしてみてください。

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スクイーズアウトとは?

スクイーズアウトとは、少数株主の賛否にかかわらず、少数株主が保有する株主を強制的に買い取り、少数株主を排除する手法のことを言います。
スクイーズアウトは、強行的な手法であるため、他の手法が難しい場合の最終的な手法と捉えるべきです。

少数株主の持株を大株主が取得することで少数株主を強制的に排除する方法

株式会社を運営するうえでは、少数株主がいると手続きを進められないなどの理由で、持株比率100%を目指さなければならない場面があります。その際に活用されるのがスクイーズアウトの手法です。

スクイーズアウトは、従来から全部取得条項付種類株式を活用したスキームで利用されてきましたが、平成26年の会社法改正以降は、株式併合のスキームによるスクイーズアウトがM&Aにおける手法の1つとして多く利用されています。

あくまでも最終手段的な手法

スクイーズアウトは、少数株主から強制的に株式を取り上げる手法で、最終手段的な意味合いを持っています。少数株主との個別交渉によって株式を買い集められるのであれば、スクイーズアウトを行うべきではありません。

スクイーズアウトは、株主との交渉が決裂して買い取りに同意してもらえない、少数株主が多すぎて個別の交渉が難しい、そもそも没交渉になってしまった少数株主がいるなど、やむを得ない場合に限って実行の検討をしましょう。

スクイーズアウトを実行する際は、株式を公正な価格で買い上げる必要があります。非上場企業での公正な価格の算出は難しく、金額によっては少数株主から訴訟を起こされるリスクもあります。

スクイーズアウトを行う目的・背景

スクイーズアウトを行う目的や背景は、会社によってさまざまです。ここでは、スクイーズアウトを行う目的や背景として主要なものを5つピックアップして解説します。

M&AやMBO、上場廃止など

M&AやMBO、上場廃止のためには、株式会社の持株比率を100%にしなければならない場面があります。

たとえば、M&Aで売り手企業が買い手企業の完全子会社となる場合には、株主の意思が統一されていなければなりません。少数株主が存在していると、完全子会社化の手続きを進めるのは難しいです。
このケースで、スクイーズアウトを活用すると、少数株主を排除して、完全子会社化をスムーズに進められるようになります。

分散した株式の集約

株式は、相続の対象となる財産です。そのため、歴史のある株式会社では、相続が重なることで株式が分散されてしまっているケースは珍しくありません。それ以外でも、取引先同士での株式の持ち合いなど、上場企業でなくとも株式が分散されるケースはあります。

株式が分散されると、会社における株主管理コストが増え、所在不明の株主が出てくる可能性もあります。株式を分散させたままにしておくと、会社にとってリスクを抱えることになるのです。

スクイーズアウトを実行すると株式を一手に集めることができるため、スクイーズアウトは分散した株式を集約する目的でも活用されます。

意思決定、経営スピードの向上

株式会社における重要事項の意思決定は、株主総会の決議で行います。株主総会において、議案に反対する少数株主が多数いる場合には、決議の結果に影響を与えないまでも、決議をするのに時間やコストがかかってしまいます。

スクイーズアウトで方針に同意しづらい株主を排除しておけば、決議をスムーズに進めることができ、会社としての意思決定や経営スピードの向上につながります。

管理コストの削減

少数株主が多くなると、株主総会の案内や会場の手配にかかるコスト、株式配当のためのコストなど、管理コストが高くなります。スクイーズアウトで少数株主を排除すれば、株主総会を書面決議で済ますこともできるようになるなど、管理コストの削減が可能です。

さらに、少数株主を多数抱えていると、少数株主権の行使による訴訟リスクを常に抱えていともいえます。潜在的な訴訟リスクによる管理コストを減らす意味でも、スクイーズアウトは有用な手法です。

税制上のメリットを得るため

スクイーズアウトを活用したM&Aで、売り手企業を買い手企業の完全子会社にすれば、連結納税制度の適用を受けられます。

連結納税制度は、親会社と子会社の利益を損益通算して税額を算定する制度です。つまり、子会社の赤字分を親会社の利益から差し引くことができます。
完全子会社化のためには、少数株主を排除して売り手企業の株主の意思を統一する必要があるため、スクイーズアウトが少数株主を排除するための手法として活用されます。

スクイーズアウトに用いられる手法

スクイーズアウトに用いられる手法には、主に次の4つがあります。

・株式等売渡請求
・株式併合
・株式交換
・全部取得条項付種類株式

会社の状況や、時間的余裕によって執るべき手法は変わってきます。それぞれの特徴を理解し、適切な手法を選択するようにしましょう。以下でそれぞれ解説します。

株式等売渡請求

株式等売渡請求は、株主総会決議が不要で取締役会の承認によって手続きを進められる手法です。取締役会で株式等売渡請求が承認されると、少数株主は株式の売渡を拒絶できず、会社の定めた価格で株式を売り渡さなければなりません。会社からみれば、株主総会の決議が不要なため、他の手法と比べて迅速にスクイーズアウトを実行できる方法です。

ただし、株式等売渡請求を利用するには、会社に議決権の90%以上を持つ「特別支配株主」が存在していることが前提となります。また、売渡の価格について妥当な株価算定をしなければ、裁判所に対する価格決定の申立てを起こされる可能性もあります。

株式併合

株式併合とは、複数の株式を1株にまとめることを言います。1000株を1株にする株式併合を行えば、保有する株式の数が1000株に満たない株主は、1株に満たない端株になります。

端株には議決権が認められず、会社が買い取ることも可能です。
株式併合を実行し、会社が端株を買い取れば、少数株主を排除することができます。平成26年の会社法改正以降、スクイーズアウトの手法としては株式併合が最も多く利用されています。

株式併合を行うには、株主総会の特別決議が必要です。株主総会の特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席した株主総会で、3分の2以上の賛成によって成立します。

株式交換

株式交換は、親会社と子会社の株式を交換して、子会社の持株比率を100%にする場合などに採用されることがあります。

この場合、もともとの少数株主は、親会社の株主となるため、厳密には株主として残り続けることになります。少数株主への対価として、親会社の株式ではなく現金を支払い、少数株主を完全に排除することも可能です。

全部取得条項付種類株式

全部取得条項付種類株式を活用した手法は、平成26年の会社法改正以前には、スクイーズアウトの手法として多く利用されていました。

しかし、この手法は、株主総会の特別決議が2度必要で、種類株式の発行には定款変更をしなければならないなど、手続き面で負担が重いため、現在ではほとんど利用されていません。

スクイーズアウトの事例

ここでは、実務でのスクイーズアウトの事例を1つ紹介します。ZホールディングスとLINEの事例で、ニュースなどで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

ZホールディングスによるLINEの完全子会社化

Zホールディングスの親会社ソフトバンクと、LINEの親会社であるネイバーは、LINE社をZホールディングスの完全子会社化するため、当初TOB(株式公開買い付け)によるLINE株の全株取得を目指していました。

しかし、LINE社の少数株主の反対によりTOBは失敗し、全株式を取得することはできませんでした。そこで、LINE社では、株式併合によるスクイーズアウトの手法を取りました。併合の比率は、約2,900万株を1株に併合するものでした。

この株式併合により、保有株式数が2,900万株に満たない株主は排除され、ZホールディングスはLINE社の完全子会社化を実現しています。

最終手段としてスクイーズアウトの選択肢を

スクイーズアウトは少数株主を強制的に排除する強行的な手法で、他の方法が取れるなら簡単に採用すべきものではないといえますが、最終手段として、スクイーズアウトの選択肢があることを知っておくのは重要です。

少数株主への対応に苦慮している企業では、スクイーズアウトの目的と実行にかかるコストを考慮したうえで、手段の一つとしてスクイーズアウト検討のために本記事をご参考ください。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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