「支配人」と聞くと、ホテルや結婚式場などにおける責任者をイメージされる方も多いと思います。店舗における「店長」や、会社の拠点における「支店長」なども近いイメージの言葉です。
これらは「拠点における責任者」という役割の通称として使用されることも多いですが、支配人を登記申請することで法律上の権限を設定することが可能です。
本記事では支配人の登記について解説します。
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支配人の選任や営業所の変更とは?
支配人とは、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する使用人のことを言い、取締役会の決議又は、取締役会を設置していない会社の場合は取締役の過半数の一致によって選任されます。
支配人は、代表取締役と同様に印鑑登録をすることができ、独自に取引の主体となることができます。取引先と契約を締結したり、金融機関からの資金調達(融資など)の権限を持つことができるようになり営業活動を迅速に行えるようになります。
どんなときに支配人の登記が発生するのでしょうか
取締役会の決議又は、取締役会を設置していない会社の場合は取締役の過半数の一致によって、支配人を選任したときに支配人選任の登記をする必要があります。
支配人は、本店や支店に置くことができ、どこに置いたかは「支配人を置いた営業所」として登記され、登記簿謄本にも記載されます。支配人を置いた本店又は支店の移転、変更又は廃止があった場合には、それに伴い支配人を置いた営業所も移転、変更又は廃止になります。
支配人選任登記の登記事項は、①支配人の氏名及び住所②支配人を置いた営業所 です。
会社法施行前は、支配人は、支配人を置いた営業所を管轄する法務局に登記されていましたが、会社法施行後、本店に一括して登記されるようになり、支店の登記事項ではなくなりました。
また、支配人を置いた本店又は支店の移転、変更又は廃止があったときや、支配人の代理権が消滅したときに登記が必要になります。支配人の代理権は、辞任、解任、支配人の死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判等により消滅します。
支配人の選任や営業所の変更時に登記をしなくてはならない理由
支配人選任の登記においては、他の登記とは異なり選任日は登記されず、登記するべき期間も法定はされておりません。ただし、登記されていない事項について、その事実を取引関係に立つ善意(その事実を知らないことを言います。)の第三者に主張することができないため、速やかに登記をする必要があると言えます。
商業登記の制度というのは、商号や本店、事業目的、資本金、役員等、会社にとって重要な事項を公示することにより、会社の信用の維持を図り、取引を安全かつ円滑に行うことを目的にしているため、会社の実態に変更があった場合は速やかに登記簿に反映させる必要があるのです。
登記には、用意しなければならない書類も多く、面倒な手続きではありますが、登記事項に変更があった場合に速やかに変更登記手続を行うことで、取引相手や金融機関からの信用にもつながりますので、きちんと変更登記手続を行うことが大切だと言えます。
支配人の登記完了までの流れ
支配人の選任や支配人を置いた営業所の移転は、取締役会の決議又は、取締役会を置いていない会社であれば取締役の過半数の一致により決定する必要があります。(支配人を置いた営業所が本店であれば、管轄外に移転するには株主総会決議が必要になります。)
そして取締役会議事録等必要な書類を整え、登記の申請書を作成し管轄する法務局に登記の申請をする必要があります。支配人の印鑑を登録するのであれば、印鑑届書の提出も必要になります。
不備がなければ1週間から2週間ほどで登記は完了しますが、不備がある場合、再度法務局に足を運ぶ必要があります。
支配人の選任や営業所の変更登記を自分で行うことは可能?
支配人選任や営業所変更の登記手続きは高度な専門的知識がそれほど必要な登記ではありませんから、時間を掛ければ自分で行うことは可能です。しかし、登記手続きを自分で行う場合には、かなり複雑な作業に戸惑うことは間違いありません。人によっては、自力で進めた場合、1ヵ月以上かかることもあるでしょう。
登記の手続きは、必要な書類一式を揃え、管轄する法務局の審査を受け、不備なく通す必要があります。申請書はどのように記載すればいいのか、収入印紙はいくらなのか、どこの法務局に提出するのか、申請書以外に必要な書類は何か、どの書類に何の押印が必要か、これらの情報はネットでも調べることは可能ですが、非常に膨大な情報となり、支配人選任や支配人を置いた営業所移転・変更の手続きだけでも正確な知識を身に付けるのは困難です。
時間を掛けて調べても法務局の補正指示があれば、都度出向いて直す必要があります。実際にそれだけ手間のかかる作業でなければ司法書士に依頼する必要はありません。それでも、登記の知識は司法書士以外には本業で役に立つことはほとんどないでしょう。
ですから、自力で行うことは可能と言っても、必要以上に登記手続きに手間や時間がとられ本業に支障がでては本末転倒ですから、これらを踏まえた上で検討する必要があると言えます。
支配人の選任や営業所の変更登記を自分で行うメリットとデメリット
メリット
・費用を削減できる
自分で登記手続きをする場合、司法書士に支払う報酬は発生しませんので、費用を抑えることができます。
デメリット
・手続きに時間を割く必要がある
人によっては支配人選任や支配人を置いた営業所移転・変更の登記手続きに1週間程時間を割かれることもあるでしょう。必要な書類は複数ありますし、記載内容も決まったフォーマットがあるわけではありません。法務局とのやり取りや、手続きの流れを把握するだけでも想像以上に複雑な作業となります。
・法務局へ出向くケースもある
登記の申請手続きでは、法務局の審査は厳しいため、司法書士でも書類の不備で補正を受けることがあります。補正とは法務局による書類審査上で不備があった場合の通知です。補正通知があった場合は、内容によっては法務局に出向いて書類の内容を訂正する必要が出てきます。管轄の法務局によっては半日作業となります。
・詳しく調べても本業には役立たない
会社登記はもっぱら会社の基本的な事項を公示する機能となりますから、経営者であれば当たり前に把握している内容です。しかし、その登記手続きは専門性を極めており、本業ではほとんど使わない知識ばかりですから苦労して調べても見返りは非常に少ないと言えます。
・費用削減できるといっても頻繁に必要な手続きではない
会社登記は頻繁に必要な手続きではありません。そもそも会社の基本的なことが登記されているので、変更されないのが基本です。ですから費用削減の効果としては微妙と言えるでしょう。
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※GVA 法人登記は支配人の登記には対応していないのでご注意ください。
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GVA 法人登記が対応している登記種類
・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
・役員の住所変更
・募集株式の発行
・商号変更
・目的変更
・株式分割
・剰余金等の資本組入れ
・ストックオプション
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登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。
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GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(例)
・登記申請書
・株主総会議事録
・株主リスト
・印鑑届出書
・就任承諾書(役員就任・重任)
・辞任届(役員辞任)
・準備金・剰余金の額に関する証明書(剰余金の資本組み入れ)
・総社員の同意書(合同会社)
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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