本記事では、株主総会の招集手続き・通知の流れについて、株主総会の定義から定時株主総会と臨時株主総会や公開会社と非公開会社の違いを踏まえつつ解説します。
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株主総会とは
株主総会とは、全ての株式会社に設置が義務付けられている最高の意思決定機関です。株式会社では所有と経営が分離されているという特徴があり、所有者である株主と、実際に経営を行う経営者とがその役割により明確に分離されています。
そのため、会社の組織、運営、管理等の重要な意思決定については株主総会で決定され、株主から委任された経営者が日々の経営に関する事項について遂行する、というのが株式会社の基本的な仕組みとなっています。
定時株主総会と臨時株主総会
株式総会には、定時株主総会と臨時株主総会があります。
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に必ず開催される株主総会のことをいいます。この定時株主総会は決算日後3か月以内に開催されます。3月決算である会社が多いため、毎年株主総会は6月下旬に集中しています。
定時株主総会とは別に、株式会社が必要な場合はいつでも臨時に株主総会を開催することができ、この臨時に開催される株主総会のことを臨時株主総会といいます。
公開会社と非公開会社
株式は自由に譲渡できるのが原則です。ただし、株式の譲渡に株式会社の承認を要するという制限を設けることができます。この株式の譲渡制限を設けていない株式会社のことを「公開会社」といいます。
一部の株式だけに譲渡制限を設けている場合も公開会社となります。一方で、全部の株式について譲渡制限を設けている株式会社のことを「非公開会社」といいます。
この公開会社であるのか、それとも非公開会社であるのかの違いによって、適用される法令の規定が異なるため、両者の区分には注意が必要です。
招集の方法
株主総会を招集するには複数の方法が認められています。
(1) 書面による通知
公開会社の場合、株主総会を招集するには、株主総会の日の2週間前までに株主に対して招集通知を発送しなければなりません。
一方、非公開会社の場合は、株主総会の日の1週間前までに発送することとされています。なお、その非公開会社が取締役会を設置しない会社の場合は、定款で定めることにより1週間を下回る期間とすることができます。
(2) 電磁的方法による通知
書面による招集通知の発送にかえて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得ることで、電磁的方法により通知することができます。例えば、招集通知を電子メールで送信したり、ホームページに招集通知を掲載して閲覧を可能としたりする方法が該当します。
この場合、取締役は前述の書面による通知を発送したものとみなされることとなります。電磁的方法の通知には、書面による通知の場合と同様の内容を記載し、又は記録しなければなりません。
(3) その他の通知
取締役会を設置しない会社の場合、書面にも電磁的方法にもよらない方法で株主総会を招集することが可能で、口頭や電話による招集が認められています。
招集通知の記載事項
株主総会は通常取締役が招集します。例外的に、株主による招集の請求に基づいて裁判所の許可を得て株主が招集することも認められています。株主総会を招集する場合には以下の事項を決定し、招集通知に記載する必要があります。
(1)株主総会の日時及び場所
(2)株主総会の目的事項である議題及び議案
(3)株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができるようにするときは、その旨
(4)株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができるようにするときは、その旨
(5)その他法務省令で定める事項
招集通知の添付書類
定時株主総会の招集においては、計算書類及び事業報告を招集通知に添付する必要があります。この計算書類及び事業報告には、監査役や会計監査人による監査報告を含みます。
また、書面により議決権行使を行う場合には、株主に対しての議決権の行使に関して参考となるべき事項を記載した書類である「株主総会参考書類」及び株主が議決権を行使するための書面である「議決権行使書面」を交付する必要があります。
一方、委任状勧誘の場合、上場会社は金融商品取引法施行令及び委任状勧誘府令において定める「参考書類」及び「委任状用紙」を交付しなければなりません。
招集手続きの省略
株主総会は、株主全員の同意があるときは、招集の手続きを経ることなく開催することができます。ただし、株主総会に出席しない株主が書面又は電磁的方法による議決権行使を可能としたときは、招集手続きを省略することはできません。
招集手続きに関する総会検査役の調査
株主総会の招集手続きに関する適法性等を調査する機関として、総会検査役が存在します。株式会社又は一定の株主は総会検査役の選任を請求し、株主総会の招集について調査をさせることができます。
具体的には、株式会社と議決権の100分の1以上を6か月前から引き続き保有している株主は、株主総会に先立ち、総会検査役の選任を裁判所に請求することができます。通常、裁判所に総会検査役として選任されるのは弁護士が多いとされています。
この総会検査役の任務は、株主総会の招集手続きや決議の方法の調査です。総会検査役に、株主総会の招集手続きや決議の方法を調査させ裁判所に報告させることにより、違法な不正な手続きを防止し、後々の訴訟などの証拠を確保するという意義があります。
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