支店と子会社の違いは?設置費用と選び方を比較表で解説

子会社の設立
投稿日:2026.10.21
支店と子会社の違いは?設置費用と選び方を比較表で解説

支店と子会社の最大の違いは、別の法人かどうかです。支店は同じ会社の拠点なので、本店所在地の法務局に支店設置の変更登記を出します。子会社は別の法人なので、新たに設立登記が必要です。

手続きも費用も、土俵がまったく違います。支店設置の登録免許税は1箇所6万円、子会社の設立は資本金の0.7%(最低15万円)に定款認証の手数料などが加わります。また、支店所在地での登記は2022年9月1日に廃止されており、古い解説の記述とは異なります。

この記事では、支店と子会社の比較表、設置費用の試算、登記から届出までの手続きと期限の一覧、選ぶときの判断材料を整理します。古い解説と実務が食い違いやすい点も、一次情報で確認します。

支店と子会社の違いは「別の法人かどうか」

支店は会社の一部、子会社は独立した別の会社です。主な違いは次のとおりです。


項目

支店

子会社

法人格

本社と同じ法人(独立した法人格はない)

別の法人

債務の責任

会社(本社)全体で負う

親会社の責任は原則として出資額の範囲

必要な登記

本店所在地で支店設置の変更登記

子会社の本店所在地で設立登記

登録免許税

1箇所につき6万円

資本金×0.7%(最低15万円)

意思決定

本社の機関が決定

子会社自身の取締役などが決定


会社法上の「子会社」は、ある会社が総株主の議決権の過半数を有する株式会社などを指します(会社法2条3号)。出資割合ごとの考え方は「100%子会社を設立するメリットを解説 判断基準と注意点」にまとめています。

設置費用の違い:支店は1箇所6万円、子会社は最低でも十数万円

支店設置にかかる費用

支店の設置登記の登録免許税は1箇所につき6万円です(国税庁「登録免許税の税額表」)。支店を2か所設ければ12万円です。

子会社設立にかかる法定費用

子会社の設立では、次の3つが法定費用です。


  • 登録免許税:資本金×0.7%。計算額が15万円に満たないときは15万円
  • 定款認証手数料:資本金に応じて区分があります。2025年10月1日施行の区分で、100万円未満(軽減要件に当たらない場合)は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円です(日本公証人連合会の手数料表)。100万円未満で一定の要件を満たす会社にはさらに低い区分があります【要確認:金額と要件は公証人連合会の最新資料で確認】
  • 収入印紙:紙の定款では4万円。電子定款では不要です


資本金別の法定費用の試算は次のとおりです。


資本金

登録免許税

定款認証手数料

合計(紙定款/電子定款)

200万円

15万円

4万円

23万円/19万円

1,000万円

15万円

5万円

24万円/20万円

3,000万円

21万円

5万円

30万円/26万円


紙定款の合計には収入印紙4万円を含みます。謄本の交付手数料、印鑑の作成費用、専門家への報酬は含みません。

手続きの違い:支店設置は本店所在地で2週間以内

支店設置の手続き

支店の設置は、会社の機関が決定します。取締役が2人以上いる会社では取締役の過半数で決め、取締役会を置く会社では取締役会の決議が必要です(会社法348条2項・3項2号、362条4項4号)。


登記は、変更が生じたときから2週間以内に、本店所在地の法務局へ申請します(会社法915条1項)。申請書には決定を示す書面などを添付します【要確認:添付書類は法務局の案内で確認】。


実務で注意したいのは、支店所在地の法務局への登記は不要という点です。令和4年9月1日に支店所在地での登記が廃止され、支店所在地で申請すると却下されます。一方、本店所在地での支店の設置・移転・廃止の登記は引き続き必要です(法務省)。廃止前の解説には、この申請を前提にしたものが残っています。

子会社設立の手続き

設立登記は、設立手続の調査が終了した日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内です(会社法911条1項)。起算日の考え方は「設立登記の期限2週間の起算日と過ぎた場合の対応方法」で整理しています。親会社が発起人になる場合の書類は「法人が発起人になる場合の必要書類 親会社の印鑑証明を解説」を参照してください。

設置後の届出と期限の一覧

登記のあとにも届出が続きます。支店の届出先は自治体ごとに異なるため、東京都の例を挙げます。


手続き

届出先

期限

区分

支店設置の変更登記

本店所在地の法務局

変更から2週間以内

支店

事務所等の設置届出(都内に支店を設ける場合)

都税事務所

【要確認】

支店

社会保険の一括適用

年金事務所

申請から承認まで約3か月

支店

設立登記

子会社の本店所在地の法務局

調査終了日などから2週間以内

子会社

法人設立届出書

納税地の税務署

設立の日以後2か月以内

子会社

健康保険・厚生年金保険の新規適用届

年金事務所など

事実発生から5日以内

子会社


支店の都税事務所への届出は、すでに都内に事務所等がある法人が都内に支店を設置する場合は異動届出書を使います(東京都主税局)。期限は掲載がなく、確認できませんでした。国税側の届出の要否も、所轄の税務署で確認してください。


子会社の期限は、国税庁と日本年金機構の案内にもとづきます(国税庁、日本年金機構)。一括適用は承認制です(日本年金機構)。

支店と子会社を選ぶときの判断材料

どちらが向くかは事業の状況で変わります。


  • 責任の範囲:支店の債務は会社全体で負い、子会社の債務への親会社の責任は原則として出資額の範囲です
  • 事業の独立性:子会社は独自の取締役を置き、決算や機関運営を別に行います。その分の管理負担が増えます
  • 出資者・取引先の要件:他社から出資を受ける、取引先が別法人との契約を求める、といった場面では、法人格の有無が条件になります
  • 許認可・契約の名義:事業に必要な許認可や契約の名義が、法人ごとに必要かを確認します


分社化との関係は「新設分割と子会社設立の違い 分社化の使い分けを解説」を参照してください。税務の扱いは状況で変わるため、税理士などの専門家にご確認ください。


子会社設立の全体像は「子会社設立の手続きの必要書類は?親会社側の準備も解説」、会社設立全体の流れは「株式会社設立の流れ9ステップ 登記申請の方法と費用」で確認できます。


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