会社設立に、法律上「この月が良い」という決まりはありません。設立月は、定款で自分で決める事業年度の期首(1期目の始まり)とセットで考えるのが基本です。期首にあたる月の初めに設立すれば、1期目をほぼ12か月確保できます。
迷いやすいのは、設立月によって消費税の免税期間の長さ、法人住民税の均等割、最初の決算と申告の時期が変わる点です。さらに2026年2月2日からは、1月1日のような休日も一定の要件で設立日に指定できるようになり、「元日は設立日にできない」という従来の前提が変わりました。
この記事では、設立月で変わる4つのこと、1月設立・4月設立の典型例、休日を設立日にするための要件、希望の設立月から逆算した準備スケジュールと、設立直後に迫る届出期限を整理します。
会社設立は何月がいい?期首から逆算する設立日の決め方
会社設立に「良い月」の決まりはない。期首とセットで考える
株式会社は、本店所在地の法務局で設立の登記をした日に成立します(会社法第49条)。原則として登記を申請した日が設立日となり、何月に設立しなければならないというルールはありません。
一方、事業年度は定款で自由に定められ、1期目は設立日から最初の決算日までです。つまり設立月は「どの月を期首にするか」と一体で決まります。
設立日 | 決算月 | 1期目の長さ |
|---|---|---|
4月1日 | 3月 | 12か月 |
4月20日 | 3月 | 約11か月 |
4月20日 | 6月 | 約2か月 |
同じ4月20日設立でも、決算月の置き方で1期目の長さは大きく変わります。設立日そのものの決まり方は「会社設立日は希望日にできる?決まり方と逆算の方法」、決算月の選び方は「決算期はいつがいい?事業年度の決め方と判断材料4つ」で詳しく解説しています。
設立月で変わる4つのこと
設立月で変わるのは、①1期目の長さ(前章の表)、②消費税の免税期間、③法人住民税の均等割、④最初の決算・申告の時期の4つです。
消費税:資本金1,000万円未満で設立した場合、基準期間がないため1期目・2期目は原則として納税義務が免除されます(国税庁 No.6503)。ただし、1期目の特定期間(原則として開始から6か月)の課税売上高と給与等支払額がいずれも1,000万円を超えると2期目は課税され、インボイス登録を受けた場合も免除されません(国税庁 No.6501)。4月1日設立・3月決算なら免税となりうる期間は最大24か月、4月20日設立・6月決算なら1期目の約2か月と2期目の12か月で約14か月です。
均等割:事務所を有していた月数は暦で数え、1か月未満の端数は切り捨てます(設置日を含めて計算)(東京都主税局)。たとえば東京23区・資本金1,000万円以下・従業者50人以下(年額7万円【要確認】)で、1月5日設立・12月決算なら11か月分の6万4,100円、1月1日設立なら12か月分の7万円です。
決算・申告:法人税の確定申告は、原則として決算日の翌日から2か月以内です。3月決算なら5月末、12月決算なら2月末が期限になります。
1月設立・4月設立・それ以外の月の典型例
設立月 | 決算月の典型 | 判断材料 |
|---|---|---|
1月 | 12月 | 暦年と区切りが揃う。準備期間が年末年始と重なる |
4月 | 3月 | 官公庁や多くの取引先の年度と揃う。決算・申告が4〜5月に集中しやすい【要確認】 |
その他 | 設立月の前月 | 事業の繁忙期と決算作業が重ならない月を期末に置ける |
個人事業から法人化する場合、1月設立なら個人の暦年と会社の事業年度が揃い、数字を比べやすくなります。それ以外の月でも不利になるわけではなく、年末商戦が中心の小売業が12月の決算・棚卸を避けて別の月を期末に置く、といった考え方もあります。どの月が合うかは売上の見込みや資金繰りによって異なるため、税額への影響は税理士などの専門家にご確認ください。
1月1日・4月1日など休日も設立日にできる(2026年2月から)
従来、設立日は法務局が開いている平日に限られていたため、元日や土日を設立日にすることはできませんでした。2026年2月2日に商業登記規則等の改正が施行され、次の要件を満たせば行政機関の休日を設立日に指定できるようになりました(法務省)。
- 登記が成立の要件となる会社等であること
- 申請書に特例を求める旨と、指定する登記の日を記載すること
- 指定する日が行政機関の休日(土日・祝日・12月29日〜1月3日)であること
- 指定する日の直前の開庁日に申請すること
たとえば2027年1月1日(金・祝)を設立日にするなら、直前の開庁日である2026年12月28日(月)に申請し、その日付で受け付けられる必要があります。郵送やオンラインでも、その日の開庁時間内に到達している必要があります。特例の記載に不備があり期間内に補正しないと、特例の求めはなかったものとして扱われます。
なお2027年4月1日は木曜日のため、特例を使わず当日に申請すれば4月1日設立になります。
希望の設立月から逆算する準備スケジュール
登記申請日から逆算した一般的な目安です。定款認証の予約状況などで前後します。
申請日からの逆算 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
6〜4週前 | 商号・本店・事業目的・資本金・役員・事業年度を決める | 事業年度が決まらないと定款が作れない |
4〜3週前 | 印鑑証明書の取得、会社実印の作成、定款の作成 | 印鑑証明書は発行後3か月以内のもの【要確認】 |
3〜2週前 | 公証役場で定款認証 | 公証役場は事前予約が必要 |
2〜1週前 | 資本金の払込み、払込証明書の作成 | 定款作成後に払い込む |
申請日 | 法務局に設立登記を申請 | 払込み等から2週間以内に申請(会社法第911条) |
郵送で申請する場合は法務局に書類が届いた日が申請日になるため、配達日を指定できる方法で発送します。登記完了までの日数は、各法務局が公表している「登記完了予定日」で確認できます。
準備すべき項目の全体像は「会社設立前に決めること10項目の印刷できるチェックリスト」にまとめています。
設立月を決めるときの注意点
設立直後の届出期限は設立日から数える:法人設立届出書は設立の日以後2か月以内に提出します(国税庁 C1-4)。1期目から青色申告をするための承認申請は、設立の日以後3か月を経過した日と1期目終了の日のいずれか早い日の前日が期限です(国税庁 C1-19)。4月20日設立・6月決算のように1期目が短いと、期限は6月29日まで早まります。社会保険の新規適用届は、事実発生から5日以内の提出が求められます。
1期目が短いと決算が早く来る:設立から数か月で最初の決算・申告を迎え、その手間と費用が早い時期に発生します。
書類の不備で設立日がずれることがある:補正が必要になると、希望日に設立できない場合があります。
法人化そのものの時期をどう考えるかは「法人化のタイミングはいつ?判断基準7つと逆算の手順」、設立手続き全体の流れは「株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用」で解説しています。