2022年9月1日の会社法、商業登記規則の改正によって支店登記の手続きが変わり、支店所在地における登記申請が不要となりました。
ただしこれは、あくまでも支店所在地における法務局への登記申請が廃止されたに過ぎません。支店設置が登記事項であることに変わりはなく、現在も本店所在地の法務局に対しては登記申請をしなければなりません。
この記事では、2022年9月以降の法令をもとに、従来の手続きとの比較を交えて支店登記の手順や必要書類について詳しく解説します。支店登記の方法や改正のポイントについて知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
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支店の登記とは?
支店登記とは、本店以外の店舗や事務所を登記簿に記載して、対外的にその所在を明示することです。
会社が営業活動をする際には、顧客や金融機関など、さまざまな取引の相手方が生じます。取引の内容によっては、支店が登記されていることが必要となるケースもあります。
支店とは?
支店とは、その会社の営業活動を行う本社・本店以外の事務所や店舗などの拠点を指しますが、登記が必要とされる「支店」はもう少し狭義な意味合いです。
商法上では、支店とは「ある範囲において会社の営業活動の中心となり、本店から離れ独自に営業活動を決定し、対外的取引をなしえる人的物的組織のこと」とされています。
分かりやすく言えば、本店以外のすべての営業拠点が支店に該当するわけではなく、営業上の一定の決裁権を持つ組織などがこれに当たると考えられるでしょう。
つまり飲食店や物販店などが新たに2号店を開設した場合であっても、会社運営に必要な機能までを備えていない販売の拠点であれば、登記が必要とされる支店には該当しないのです。
ただし商法や会社法の上でも、支店の定義は明確ではありません。「どのような機能を備えていれば、法律上の支店に該当する」とは言い切れないのが実情です。また、他の法律では営業所と称されている組織であっても、商法上の支店に該当する可能性にも注意が必要です。
例えば建設業法上の営業所は「本店または支店もしくは常時、建設工事の請負契約を締結する事務所」とされ、商法上の支店はもちろん、本店までもを含めた総称として使われています。
このため本記事では、会社運営に必要な間接部門を備え一定の裁量を有する組織を「支店」と称し、地理的要因などから本店とは別に開設された営業活動だけを行う拠点を「営業所」と記載します。
支店の設置には取締役会の決議が必要
支店の設置や廃止には、取締役会の決議、もしくは取締役の過半数の賛成が必要とされています。支店設置登記申請書に、取締役会の議事録もしくは取締役の過半数の合意を証する書面を添えて申請する流れです。なお、支店登記では株主総会の決議は不要とされています。
この登記申請は、設置から2週間以内に行わなければなりません。これにより、支店の所在が登記事項証明書(登記簿謄本)に記載され、対外的に支店の存在が明らかになるのです。なお、支店を廃止するときも登記申請が必要です。
従来は支店所在地への登記申請も必要だった
従来の支店登記の手続きでは、本社・本店所在地の登記所に対する申請だけでなく、新たに開設する支店所在地の登記所へも登記申請を行う必要がありました。
しかし2022年9月1日に改正された会社法・商業登記規則により、「本社・本店所在地の法務局に対してのみ登記申請をする」という手続きに変更になりました。支店を管轄する法務局にあった「支店登記簿」と呼ばれる支店独自の登記が廃止されたのです。
登記手続きの変更に伴い、従来の方法で申請すると受け付けてもらえない点にも注意が必要です。例えば本店所在地の法務局に支店所在地への登記申請も一括して行う「本支店一括申請」は現在は行う必要がありませんので注意しましょう。
支店を設置する理由やメリット
一定の権限を持たせた支店、つまり登記された支店を開設することのメリットは、意思決定のスピードアップや事業の効率化などの効果が見込めることです。以下で詳しく解説していきます。
支店ごとに、契約や資金調達の権限を持たせる
「販売網の拡張」などを目的として地理的な優位性を確保するだけであれば、決裁権を持たない営業所を開設するだけで目的を果たせるかもしれません。しかし、このような権限を持たない営業所では、契約手続きや資金調達を独自に行うことができず、業務が滞るなどの弊害が生じる可能性も否定できません。
例えば業務に関する契約を結ぶ場面であっても、営業スタッフが常駐しているだけの営業所であれば、契約の当事者にはなれません。本社が委任状を用意したり、実印を押印した契約書を作成し印鑑証明書を添付して郵送したりなどの作業が必要となります。このようなケースでも、支店を設置して登記すれば、支店の裁量で業務を完結することができるようになります。
支配人を設置することでさらに権限強化できる
その他にも支店に権限を持たせる方法として支配人の設置があります。
会社法上の支配人とは、「会社に代わってその事業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する使用人」です。つまり支店の支配人は、その支店内では代表取締役に準ずる権限を持つといえます。
支配人を登記すれば印鑑登録も可能になりますから、印鑑証明書が必要とされる契約締結などの業務も行うことが可能です。つまり支店独自で行える業務の範囲が、営業所に比べて大きく広がるのです。また「裁判上」という記述のとおり、支配人には訴訟代理権も認められています。
入札や補助金の条件となるケースもある
自治体の入札に参加する場合や補助金を受けたい場合など、事業主体である自治体に「支店登記されていること」が条件とされるケースも少なくありません。自治体側の視点でみれば、その地域の企業に業務を発注したり補助金を交付したりすることで、税収の増加や雇用促進という経済効果を生み出したいと考えるのが当然といえるからです。
株式会社の支店登記申請の流れ
一定の裁量権を持つ支店を設置することは、会社全体の運営にも大きな影響を及ぼす重要な事項の1つです。このため支店の設置には「取締役会の決議」や「支店の登記」という手続きが必要とされています。
支店登記の手続きは2つのステップに分かれる
支店の設置は登記事項の1つです。支店を設置する場合には登記が必要となりますが、その手続きは主に2つのステップに分けられます。1つ目は会社内での支店設置の決議、2つ目が法務局への登記申請です。
なお、支配人を設置する場合にも①会社内での決議②法務局への登記申請という、同様の手続きが必要となることを覚えておきましょう。
①社内(取締役会)での支店設置決議の手続き
第1のステップは、社内での「支店設置の決議」です。
取締役会設置会社では取締役会の決議により、取締役会を設置していない会社では取締役の過半数の賛成によって決定します。
ここで定めるべき項目は、開設する支店の所在地と開設日です。これを記載した議事録もしくは決定書が、登記申請の際に必要となります。
登記事項の中には株主総会の決議が必要とされるものもありますが、支店の設置は株主総会の決議事項ではありません。特に取締役会を設置している会社では、株主総会の決議では代用できないことを覚えておきましょう。
なお、株主総会は「会社における最高の意思決定機関」とされていますが、必ずしも万能の機関というわけではありません。
会社法第295条第2項には、「取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる」と定められています。つまり、取締役会設置会社では「支店設置に関する事項」の決定は、取締役会の権限であり、定款に別段の定めがない限り、株主総会で決議することができないのです。
②書類を作成し、法務局に登記申請
所定の登記申請書を作成し、取締役会議事録または取締役などの必要書類を添付して、本店所在地を管轄する法務局に対して申請します。
申請期限は「開設日から2週間以内」です。この起算日は、議事録もしくは決定書に記載した開設日を基準にします。
株式会社だけでなく、合同会社などでも同様です。
前述のとおり、2022年9月1日から本店所在地の法務局に対する支店登記だけに手続きが変更になりました。
あくまでも支店所在地への登記申請が不要となっただけであり、「本店所在地への申請は必要であること」「支店管轄法務局への登記を一括申請すると却下されること」を覚えておきましょう。
支店登記にかかる登録免許税
支店登記に必要な登録免許税は、支店1カ所につき6万円です。ご自身で申請書を作成し登記するのであれば、登録免許税以外の費用はかかりません。
会社法改正以前の手続きでは支店所在地の管轄法務局へも登記申請が必要だったため、支店所在地の法務局1カ所につき9,000円の登録免許税と、登記手数料として300円の料金が必要でしたが、現在はこれらも不要となっています。
なお、既存の支店の移転や廃止の場合にも登記が必要で、この場合の登録免許税は3万円です。
株式会社の支店登記の必要書類・書式
支店登記では、支店設置登記申請書と取締役会議事録(もしくは取締役決定書)が主な書類になります。以下にてくわしく解説します。
支店登記の必要書類
支店登記に必要な書類は登記申請書のほか、その根拠となる取締役会議事録(もしくは取締役の過半数で決定したことを称する書面)の2種類です。これに登録免許税として印紙を貼付した書面を添えて提出します。
ただし代理人が申請する場合には、委任状が必要です。
支店登記の必要書類
- 支店設置登記申請書
- 取締役会議事録(取締役会設置会社の場合)もしくは取締役決定書(取締役会非設置会社の場合)
- 登録免許税(支店1カ所につき60,000円)
- 委任状(代理人に委任した場合)
自分で支店登記を申請するための書式・記入例
支店登記に必要とされる申請書や取締役議事録に記載する項目は、「支店を開設する事実と所在地、開設日」です。内容が比較的シンプルなため、自分で登記申請書類を作成することも難しくはありません。
法務局のWEBサイトに支店設置登記申請書のひな形が掲載されていますので、こちらを参考に作成すればよいでしょう。取締役会議事録や委任状のひな形もこちらに記載されています。
法務局:「支店設置登記申請書」の記入例
支店登記のルール変更を確認して申請手続きしましょう
2022年9月1日の会社法の改正により、支店所在地への登記申請が不要となり、従来に比べて支店登記申請が簡略化されました。これによって設置者自身での登記申請が、より容易になったことを意味しています。
ただしこれは、あくまでも「新たに開設する支店所在地の法務局に対する登記申請が廃止された」に過ぎません。支店登記自体が不要になったという誤解しないよう、十分な注意が必要です。
とはいえ支店登記申請の手続き自体はそれほど難しいものではありません。現在の仕組みや手順を正しく理解して効果的に登記申請しましょう。
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