有限会社解散の手続きについて解説

有限会社の基礎知識
投稿日:2024.08.02
有限会社解散の手続きについて解説

近年有限会社の経営者の高齢化が進んでおり、後継者がいない場合には解散や清算を考えるケースが増えているといわれています。後継者が不在でしかも業績が思わしくない場合、事業承継ではなく廃業を選択する経営者もいるかもしれません。事業を解散・清算する際には、適切な手続きを踏む必要があります。

そこでこの記事では有限会社の廃業時における解散や清算の手続きについて詳しく解説します。

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有限会社とは?

有限会社は特に中小企業や家族経営のビジネスに多く見られる企業形態です。この章で詳しく説明します。

有限会社の基本について解説

「有限会社」とは法人格を持つ会社形態の一つです。2006年5月に施行された会社法により、有限会社の新規設立は不可能となりました。

会社法施行前には有限会社と株式会社の設立要件や特徴には大きな違いがありました。株式会社は設立時に必要とされる資本金の額が高く、社会的信用を得やすい一方で、小規模な事業で設立するにはハードルが高い面がありました。しかし会社法施行により、株式会社の設立要件が引き下げられたため、有限会社を新規に設立するメリットが減少し、新規設立が廃止されました。

その結果、既存の有限会社は有限会社の性質を残した「特例有限会社」として存続するか通常の株式会社に変更するかを選択することになりました。現在、「有限会社」を名乗る企業は、2006年5月以前に設立され、「特例有限会社」として存続することを選んだ企業です。

「特例有限会社」は、法律上は株式会社の一種として扱われますが、社名に「有限会社」を使用する必要があることや、決算公告の義務がないなど、有限会社としての特性の一部が維持されています。

株式会社と有限会社の違い

会社法施行前は有限会社と株式会社には明確な違いがありました。かつては設立ハードルが高い株式会社のほうが長期的に見て経営が安定するとされていた時もありました。しかし、会社法施行後、株式会社の設立要件が緩和されたことで有限会社を新規に設立することはできなくなりました。

有限会社と株式会社の違いについて具体的に見ていきましょう。

社員数

有限会社
   施行前:社員数50人以下
   施行後:制限なし
株式会社
   施行前:制限なし
   施行後:制限なし

取締役の任期

有限会社
   施行前:規定なし
   施行後:規定なし

株式会社
   施行前:原則2年
   施行後:原則2年

設立時の資本金額

有限会社
   施行前:300万円以上
   施行後:-
 
株式会社
   施行前:1,000万円以上
   施行後:1円以上

有限会社の廃業(解散・清算)手続きの流れ

有限会社の解散手続きは法人としての活動を終了し、その法人格を消滅させるために必要な法的プロセスです。この章で詳しく解説します。

株主総会で会社の解散と清算人の選任決議

まずは、解散の決議と清算人の選任を行います。有限会社も経営者の独断で解散することはできません。会社の解散は最終的に株主が決定する必要があります。有限会社では、株主総会を開いて特別決議を行い、解散を決定します。

ただし実際には多くの有限会社が家族経営をしており、株主のほとんどが経営者や創業者一族であることが多いです。つまり、実質的には経営者や創業者一族の判断で有限会社の解散が決定されます。

手続き上解散するためには株主総会の決議が必要ですので、株主総会を開催し、解散の決議を行うと同時に清算人の選任も行います。清算人の就任承諾書も登記申請時に提出する必要があります。

解散・清算人の登記

次に法務局に対して解散登記および清算人選任の登記申請を行います。解散登記と清算人選任の登記申請は解散日より2週間以内に実施する必要があります。書類の作成が完了したら速やかに提出しましょう。

財産目録、貸借対照表の作成と株主総会での承認

次に、財産目録と貸借対照表を作成し、株主の承認を得ます。財産目録は、会社が保有しているすべての資産と財産を記載した書類です。

会社を解散する際には、様々な手続きを行いますが、特に会社の資産に関する事項は慎重に行う必要があります。財産目録と貸借対照表を作成し、保有する負債を返済できるかどうか、またはどの程度の負債が残るかを確認する必要があります。

もし負債が残る場合は清算が必要となるため、これらの書類は会社の所有者である株主の承認を受ける必要があります。

解散日までの事業年度の税務申告

会社が解散した場合、解散した日を含む事業年度の開始日から解散日までを1つの事業年度(解散事業年度)とし、その後は解散日の翌日から1年ごとの期間を清算事業年度として税務申告を行う必要があります。

官報公告の申込み

官報とは、政府が発行する公式な広報誌で、国民に関連するさまざまな情報が掲載されています。会社が解散する際には、この官報にその事実を掲載する必要があります。この官報への掲載を公告と呼びます。

官報で解散を公告する目的は、債権者が不利益を被らないようにするためです。しかし、実際のところ、金融機関など特定の業種以外の人が官報を目にする機会はほとんどありません。

債権者への個別催告

官報公告とは別に、会社が把握している債権者には個別に解散の通知を行わなければなりません。これを個別催告と呼びます。

債権者は公告や催告から2か月以内に債権の申し出をすることになります。この期間を債権の申し出を行わないと、清算から除斥されてします場合があります。

現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の分配

清算人は、迅速に現務の結了を行う必要があります。現務の結了とは、解散前の会社の業務を終わらせることであり、新しい取引は、既存の在庫の売却や契約の履行に必要な商品の仕入れに限定されます。債権の回収には、弁済の受領、担保権の行使、代物弁済の受領、債権の更改、和解、債権譲渡などが含まれます。弁済期が未到来の債権については、履行期の到来を待つか、債権譲渡などの方法で処理する必要があります。

会社の債権者にとって、清算会社は営業を行わないため、会社財産が唯一の責任財産となります。したがって、債権者の保護のために、清算手続きにおける債務の弁済には一定の手続きが求められます。

清算会社は、清算開始の原因が生じた場合には速やかに、債権者に対して2ヶ月以上の期間内にその債権を申し出るように官報で公告し、知れたる債権者には個別に通知する必要があります。その公告には、期間内に申し出がない場合、清算から除外される旨を記載しなければなりません。

株主への残余財産の分配は、原則、債務を弁済した後に行わなければなりません。分配は定款の定めに従うほか、各株主の持つ株式数に応じて行います。残余財産の分配は、会社財産を換価しての金銭の交付のほか、金銭以外の現物(子会社株式や貴金属など)を交付する方法でも行えます。ただし、現物を交付する場合、株主には金銭分配請求権(現物の代わりに清算会社に対して金銭を請求する権利)を付与しなければなりません。これは、残余財産の分配は剰余金の配当よりも金額が大きく、株主にとって換金が困難であるためです。

株主総会による決算報告の承認

すべての清算業務が終了したら、その内容を記載した清算業務決算報告書を作成しなければなりません。作成した清算業務決算報告書については、株主総会で株主の承認を得る必要があります。

残余財産が確定したら税務申告

残余財産が確定した場合には、その事業年度の開始日から残余財産の確定日までが1つの事業年度(残余財産確定事業年度)となり税務申告が必要です。解散に伴う決算や税務申告に関しては、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

清算結了の登記

清算業務決算報告書が作成され、株主総会での承認が得られたら、会社内の清算手続きは完了となります。その後、法務局にて清算結了の登記を行う必要があります。

清算結了の登記に際して提出が必要な書類は次の通りです

  • 株主総会議事録(清算報告書の承認内容)


  • 株主リスト


  • 登記申請書


清算結了の登記は、株主総会で清算業務決算報告書の承認を受けた後、2週間以内に行う必要があります。期限を過ぎないように注意しましょう。

有限会社の廃業手続きにかかる費用

有限会社の廃業手続きには費用がかかります。どのような費用がどれくらいかかるのでしょうか。この章で詳しく解説します。

司法書士へ支払う費用

解散や清算に関する登記を司法書士に頼むことができます。依頼する際の費用は、司法書士によって異なるのが通常です。コストを抑えたい場合は、オンラインサービスを活用して自分で申請するのも一つの方法です。

法務局へ支払う登録免許税

法務局へ支払う登録免許税として、解散登記の登録免許税は30,000円です。清算人選任登記の登録免許税は9,000円です。

税理士に支払う費用

税務署への申告を税理士に依頼することもできます。その際の料金は、税理士によって異なるのが通常です。

官報公告費用

会社を解散した場合の官報公告費用は35,000円ほどになります。

有限会社解散の手続きを行う時は慎重に

2006年の会社法改正により、有限会社は廃止され、株式会社として扱われるようになりました。会社名に「有限会社」が含まれる株式会社は「特例有限会社」と呼ばれ、役員の任期がなく、決算公告義務もないため、歴史ある企業としての印象を与えることができます。

しかし、特例有限会社には株式譲渡に制限があり、会社の合併や分割においては、吸収されて消滅する側としてしか機能しません。また、任期がないことは一見メリットですが、ワンマン経営に陥りやすく、従業員の貢献意識が薄れがちです。これにより、従業員の向上心や自主性が損なわれる恐れもあります。

これらのデメリットを解消したい場合は、株式会社などへの変更を検討するのが良いかもれません。

いずれにしても今後設立できない有限会社解散の手続きを行う時は慎重になるべきといえます。

今回の記事が皆様の有限会社の解散に関する理解を深めるきっかけとなれば幸いです。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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