有限会社は会社法改正後に廃止された会社形態ですが、現在でも特例有限会社として存在することが認められています。
この特例有限会社を休眠法人にすることには、企業運営の観点から様々なメリットとデメリットが存在します。例えば休眠法人にすることで運営コストの削減や税務上の負担軽減に役立つ一方で特定の手続きの必要性も生じます。一般的には株式会社よりも負担が小さいと言われますが、具体的にどの点が違うのか知らない方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、特例有限会社を休眠法人にする際の具体的なメリットとデメリットについて、詳細に解説していきます。注意点についても触れますので是非ご参考にしてください。
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特例有限会社の休眠とは?
特例有限会社の休眠は企業の経営に重要な影響を与えるものです。この章では特例有限会社の休眠について解説します。
休眠会社とは?
休眠会社とは事業活動を一時的に停止した状態の会社を指します。
特例有限会社を休眠させるための手続きでは、基本的に所在地を管轄する税務署、都道府県税事務所、市町村役場に休業届(異動届出書/リンクは東京都)を提出します。この手続きには申請手数料はかかりません。書類の作成や手続きも比較的容易とされています。多くの場合士業などの専門家に依頼する必要はなく、自分でも可能です。
休眠会社の事業を再開する手続きも簡単です。休眠手続きと同様に、税務署、都道府県税事務所、市町村役場に再開届(異動届出書/リンクは東京都)を提出し、再開した年度分の確定申告を行います。
会社を休眠状態にする理由・背景
会社を休眠させる理由は会社ごとに様々ですが、主なものは次の通りです。
近年では、経営者の高齢化や後継者不足が問題となっており、後継者がいない会社では、経営者の高齢化などで会社を休眠させるケースが増えているとされています。また、休眠させることで税金が節約できるので、事業再生のための時間を確保したり、廃業準備として会社を休眠させることもあります。これらはもともと運営コストがかかっていなかったり、役員のみの会社で取られる方法といえます。
特例有限会社と有限会社
特例有限会社とは2006年の会社法施行後に存在している有限会社を指す名称です。会社法施行に伴い有限会社法が廃止され、新たに有限会社を設立することはできなくなりました。そして会社法施行前の有限会社と区別するために「特例有限会社」という表現が使用されています。
会社法施行に伴い有限会社法が廃止され、会社法施行前に設立され現在も存続している有限会社(特例有限会社)は、法律上「株式会社」として扱われます。しかし特例有限会社は会社法上で株式会社とされるものの、社名には引き続き「有限会社」を使用することが認められています。
所定の手続きを踏めば株式会社や合同会社に変更することは可能ですが、一度変更した後は再び特例有限会社にすることはできません。
特例有限会社を休眠法人にするメリット・デメリット
特例有限会社を休眠法人にするメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。この章で詳しく解説します。
税金が安くなる
休眠会社には通常法人税や消費税が課されないという利点があります。法人税は会社の利益に課税されるため、事業が継続し利益がある限り通常課税されます。しかし、休眠会社は事業を休止し、利益を生み出さない状態が続くため、休眠期間中は法人税がかからないということです。
ただし原則として法人住民税の均等割については、所得にかかわらず毎年一定の金額が課されます。しかし自治体によっては免除されることもありますので、地方自治体に確認することをお勧めします。
また、消費税は事業者が取引に対して支払う税金であり、休眠会社が事業を行っていない場合は消費税の対象外となります。
過去に青色申告承認期間中に発生した累積赤字については、通常青色欠損金として繰越控除が可能です。ただし平成30年4月1日以降に開始する年度の欠損金の繰越期間は10年ですので、休眠期間が10年を超える場合は、青色欠損金としての繰越ができなくなる点には注意しておきましょう。
会社の資格や許認可を維持できる
休眠会社のメリットの一つとして事業を再開する際に許認可などの資格を取り直す必要がないことが挙げられます。
廃業を選んだ場合、新たに事業を始める際には必要な許認可を再取得する必要があります。しかし、休眠会社の場合、休眠前に取得した許認可は取り消されないため、事業を再開する際に再取得の手間が省けます。これにより、複雑な手続きをせずに事業を再開できるというメリットがあります。
解散・清算に比べると費用や時間がかからない
休眠には申請の手続きが必要ですが解散・清算に比べると費用や時間がかからないというメリットもあります。
なお、解散・清算では以下の手続きが必要になります。
株主総会の決議により解散が決まった場合、本店所在地において2週間以内に解散の登記を行わなければなりません。登記の内容としては、解散の旨、その理由などが含まれます。
また解散の登記と同時に、清算人および代表清算人の就任の登記も行います。通常、解散時の取締役や代表取締役が、そのまま清算人および代表清算人に就任します。これらには登記費用がかかります。
また、解散を告知するために官報に解散公告を掲載する必要があり、その費用は約4万円とされています。
株主総会で清算が承認されてから2週間以内に、法務局へ清算結了の登記申請を行います。これにはやはり登記費用がかかります。清算会社は、解散日から2ヶ月以内に、事業年度開始日から解散日までの法人税確定申告書を税務署に提出します。
特例有限会社はみなし解散の対象ではない
特例有限会社以外の株式会社であって、最後の登記から12年経過し、長年に渡り登記が行われていない場合、その会社は経営実態のないものとみなされます(= みなし解散)。
休眠会社の整理手続きは進行中であり、最近では令和5年10月にも行われました。
ただし、もともと有限会社は役員任期などの制約がないため、特例有限会社はみなし解散手続きの対象外です。会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律に特例有限会社に関する規定が明記されています。(休眠会社のみなし解散に関する規定の適用除外)。
特例有限会社については、会社法第427条の規定は適用されないこととされています。つまり、みなし解散がないため、株式会社よりも休眠させやすいという背景もあるといえます。
メリットに比べるとデメリットは少ない
基本的に、休眠会社であっても、決算期に税務申告する義務は残ります。
また休眠会社であっても登記内容に変更があった場合は、登記変更手続きが必要です。例えば会社の住所変更などが該当します。変更があった場合は、法務局にて2週間以内に登記変更手続きを行う必要があります。
さらにオフィスの賃料や光熱費は休眠状態とは関係なく発生するので注意しましょう。経費の計上は基本的にできないため、注意が必要です。
特例有限会社を休眠法人にする上での注意点
特例有限会社を休眠法人にする上での注意点としては手続きを取る必要があることと廃業・清算手続きをしないと登記上はずっと存続することが挙げられます。
休眠の手続きを取らずに放置しない
有限会社の場合、役員重任のような定期的な登記はなく、株式会社のようなみなし解散の対象ではないそのため、放置しておいても問題ないと考える方もいらっしゃるかもしれません。
ただし休眠中であっても、会社は法人登記が残っており、その結果納税義務は基本的に免除されるわけではありません。先述の通り、法人住民税の均等割については、休眠前に都道府県税事務所・市区町村役場へ休業届(異動届出書)を提出することで、免除や減額の申請が可能な場合もあります。自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。
また、会社名義で不動産を所有している場合は、休眠中であっても固定資産税が課税されます。また休眠前に発生した法人税、法人事業税、法人住民税、消費税などの税務は、休眠後も変わることはありませんし、納付期限も延長されることはありません。休眠中でも、決算期には確定申告を行う義務があります。
なお、2期連続して期限内に確定申告を怠ると青色申告の承認が取り消されることがあります。青色申告の承認が取り消された場合、事業を再開する際には再度「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
また、会社の登記内容に変更があった場合は、変更手続きを法務局で2週間以内に行う必要があります。変更手続きの際には登録免許税も必要です。休眠中であっても放置することはできず、会社法に基づき変更登記を怠ると、会社と代表者個人に過料が課される可能性があります。
有限会社は廃業・清算手続きをしないと登記上はずっと存続してしまう
結論として、特例有限会社を放置しても、自然消滅することはありません。
特例有限会社は株式会社と異なり、みなし解散の対象外であり、自ら廃業や清算を行わない限り、登記簿上に残ります。その結果、最低限の税金などが引き続き課税されることになります。
ただし、放置されたままの特例有限会社は、信用上の問題を引き起こす可能性があり、架空の会社と誤解されることもあります。そのため、事業を再開する見込みがない場合は、休眠だけでなく廃業の手続きを検討することが推奨されます。
特例有限会社を解散せずに休眠させるのも一つの方法
特例有限会社を休眠法人にする手続きには、いくつかの重要なステップがあります。まず、休眠状態にする意向を決定し、その後、必要な手続きを行うことが求められます。
また、休眠期間中も一定の報告義務が継続するため、これを怠らないように注意が必要です。これらの手続きを適切に行うことで、特例有限会社を休眠法人として管理し、運営コストや税務負担を軽減することが可能となります。
休眠の手続きを取らずに放置することにはデメリットが伴いますので取るべき手続きはきちんと実施しましょう。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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