会社設立にかかる費用は、定款認証手数料や登録免許税といった「実費」と、司法書士などに支払う「外注費」に分かれます。結論から言うと、実費の大部分は法律で金額が決まっており自由には削れませんが、条件を満たせば実費そのものを下げる方法があり、外注費や準備にかかる手間はほぼ確実に減らせます。
「会社設立 費用 安く」で調べると、電子定款や登録免許税の軽減措置など個別の節約策は見つかるものの、自分の設立パターンにどれが当てはまるのか、どこまでが本当に削れる費用なのかが整理されないまま情報だけが増えていきがちです。
この記事では、実費そのものを下げる3つの条件、外注費と手間を減らす2つの方法、そして条件を満たしても残る実費の内訳と総額の目安を整理します。
会社設立の費用を安く抑える4つの方法と削れない実費を解説
会社設立の費用は「実費」と「外注費」に分かれる
会社設立にかかる費用は、大きく次の2種類に分かれます。
区分 | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
実費 | 定款認証手数料、定款の謄本手数料、登録免許税、(紙定款の場合のみ)印紙税 | 条件により約16万円台〜21万円台 |
外注費 | 司法書士・行政書士などへの依頼費用 | 依頼する範囲により変動 |
実費は誰が手続きを行っても同じ金額がかかりますが、外注費は「どこまで自分で行うか」によって大きく変わります。司法書士に依頼した場合の報酬相場は5万円〜15万円程度です(日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果」2024年3月実施)。以下では、実費そのものを下げる方法と、外注費を抑える方法に分けて解説します。
方法1:電子定款を選んで印紙税4万円を節約する
紙で定款を作成すると、印紙税法上の課税文書にあたるため収入印紙4万円が必要です。一方、電子定款はデータとして作成するため課税文書に該当せず、印紙税はかかりません。
自分で電子定款を作成する場合は、ICカードリーダーや電子証明書などの準備が必要になります。行政書士などの専門家に電子定款の作成のみを依頼する場合は数千円〜2万円程度の報酬がかかることが多いですが、それでも紙定款の印紙税4万円より安く済むケースがほとんどです。
電子定款の具体的な作成手順は「電子定款の作り方|自分で作る手順と必要なソフト一覧」で解説しています。
方法2:定款認証手数料を1万5,000円に抑える条件を満たす
定款認証手数料は、資本金等の額に応じて原則3段階(100万円未満は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円)に分かれています。
2024年12月1日施行の公証人手数料令の改正により、次の3条件をすべて満たす場合に限り、手数料が1万5,000円に軽減されます。
- 発起人の全員が自然人であり、かつその数が3人以下であること
- 定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載があること
- 定款に取締役会を置く旨の記載がないこと
条件の詳細や資本金別の早見表は「定款認証の手数料は?1.5万円になる条件を資本金で解説」にまとめています。
方法3:特定創業支援等事業の証明で登録免許税を半額にする
株式会社の登録免許税は「資本金の額×0.7%」で計算し、この金額が15万円に満たない場合は15万円が最低額になります。
市区町村が実施する「特定創業支援等事業」の支援を受けて証明書の交付を受けると、税率が0.35%に下がり、最低額も7万5,000円に軽減されます。ただし証明書の交付には自治体への事前相談や申請から発行までの期間が必要になるケースが多く、設立準備の早い段階で窓口に確認しておく必要があります。
適用条件と申請の流れは「登録免許税が半額7.5万円に|特定創業支援等事業の使い方」で解説しています。
方法4:書類作成と印鑑準備の外注費を削る
司法書士に設立手続きを依頼すると、報酬相場は5万円〜15万円程度かかります(前述の日本司法書士会連合会調査)。定款や登記申請書などの書類作成を自分で行えば、この外注費をかけずに実費のみで設立を進められます。依頼した場合の費用と対応範囲の違いは「会社設立を司法書士に頼む費用|報酬相場5〜15万円の内訳」で解説しています。
また、会社の印鑑は実印・銀行印・角印の3点セットでなくても、登記の申請自体は実印(会社実印)1本があれば行えます。必要な印鑑だけをそろえることで、数千円単位の節約になります。印鑑の種類と必要な数は「会社設立の印鑑は3点必要?実印の作り方と印鑑届書」で解説しています。
5つの方法を使っても削れない実費と総額の目安
ここまでの方法を組み合わせても、次の実費は残ります(資本金100万円未満・発起人が自然人3人以下・取締役会非設置で、電子定款を選んだ場合の一例です)。
条件 | 定款認証手数料 | 登録免許税 | 印紙税 |
|---|---|---|---|
軽減条件を満たし、特定創業支援等事業の証明もある場合 | 1万5,000円 | 7万5,000円 | 0円(電子定款) |
軽減条件を満たすが、証明書がない場合 | 1万5,000円 | 15万円 | 0円(電子定款) |
上記はいずれも一定の条件を満たした場合の金額です。条件に当てはまらない場合の金額や、印鑑作成費・謄本手数料などを含めた総額の内訳は「会社設立の費用は総額いくら?内訳早見表【2026年版】」の早見表で確認できます。