持分会社とは?株式会社との違いやメリット・デメリットを解説

会社設立
投稿日:2024.10.29
持分会社とは?株式会社との違いやメリット・デメリットを解説

「会社」と聞いて、皆さんはどんな会社を思い浮かべるでしょうか。恐らく多くの方は、身近な存在である株式会社を想像すると思います。

株式会社は、最も一般的な会社形態です。街を歩けば、株式会社〇〇といった看板を目にすることも多いでしょう。実際に日本における会社の約95%は、株式会社であり、比率としては圧倒的なものになっています。しかし、全てが株式会社ではなく、持分会社と呼ばれる他の会社形態も存在します。

当記事では、持分会社と株式会社の違いや、持分会社設立のメリット・デメリットについて解説します。会社設立の検討されているなど、興味をお持ちの方は、是非参考にしてください。

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持分会社とは?

持分会社とは、どんな会社なのでしょうか。本項では、持分会社の概要とその種類について解説を行います。

所有と経営が一致している会社形態

株式会社では、発行された株式を所有する株主が会社の所有者となります。また、経営は代表取締役をはじめとする経営陣が、株主との委任契約のもとで行うことが特徴です。つまり、株式会社においては、所有と経営が分離していることになります。
(大半の株式を所有する創業者が代表者となるケースもあります。)

これに対して、持分会社では、株式を発行することなく、社員が出資と経営の両方を行うことが前提となっていることが特徴です。つまり、持分会社では所有と経営が分離しておらず、一致していることになります。

ここで注意したいのは、株式会社における社員と、持分会社の社員は異なるという点です。株式会社の社員は、いわゆる従業員のことを指しています。しかし、持分会社における社員は、出資者を指す言葉であり、両者を混同しないよう注意が必要です。

詳しくは後述しますが、持分会社は株式会社に比べて、設立のコストが掛からず、手軽に設立可能です。そのため、従業員を雇用しない形態であるマイクロ法人や資産管理会社の設立や、個人事業主の法人成りに活用されることも多い会社形態です。

また、持分会社の中でも合同会社は、外資系企業の日本法人設立に際して利用されることが多くなっています。合同会社の形態を取っている日本法人は、「アップルジャパン合同会社」や「アマゾンジャパン合同会社」、「シスコシステムズ合同会社」などが挙げられます。

持分会社の種類

持分会社には、「合同会社」「合名会社」「合資会社」の3種類が存在します。また、持分会社には、「無限責任社員」と「有限責任社員」の区分があり、各々の特徴は次の通りです。

  • 無限責任社員

出資した額を問わず、発生した債務の全てを弁済する責任を無限責任と呼びます。無限責任社員とは、無限責任を負う社員のことです。無限責任社員は、会社債権者に対する債務の全てを弁済しなければなりません。そのため、会社が倒産した場合に、会社資産のみで弁済が出来なければ、社員個人の資産をもって弁済を行うことが必要です。

  • 有限責任社員

無限責任に対して、出資した額に応じて、債務を弁済する責任を有限責任と呼びます。有限責任社員は、無限責任を負う無限責任社員と異なり、出資額の範囲でしか責任を負いません。そのため、仮に会社が倒産したとしても、出資額の範囲で債務を弁済すれば良く、それ以上の弁済義務は生じません。
(ただし、融資の際に個人保証をするといった方法で出資額以外の債務弁済が必要となるケースもあります)

各持分会社の概要は次の通りです。

  • 合同会社

合同会社は、社員全員が有限責任社員で構成された持分会社です。2006年の会社法改正に伴い導入された最も新しい会社形態になります。代表的な合同会社は、既に紹介したアマゾンジャパン合同会社やアップルジャパン合同会社など、外資系企業の日本法人が挙げられます。

  • 合名会社

合名会社は、出資者である社員全員が無限責任社員となります。社員全員が厳しい責任を負っていることから、社員全員が業務執行権と代表権を持っていることが特徴です。ウイスキー製造を行う松井酒造合名会社など、歴史のある酒造メーカーや醸造メーカーが、合名会社の形態を取ることが多くなっています。

  • 合資会社

合資会社には、無限責任社員と有限責任社員の双方が存在します。株式会社や合同会社、合名会社など、他の会社形態と異なり、社員1人では設立出来ないことが特徴です。愛知県の合資会社八丁味噌など、合名会社と同様に古くからの酒造メーカーや醸造メーカーが、合資会社の形態を取ることが多くなっています。

合名会社や合資会社の形態を取っているのは、歴史のある古いメーカーが多く、新規で設立されることは少なくなっています。これは、重い責任を負う無限責任社員が設立に必要となるリスクの高さと無関係ではありません。

一方で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)を参考にして設けられた形態である合同会社は、設立コストの低さや、無限責任社員のみで設立可能なリスクの低さから、新規設立の方法として選択されることも多くなっています。

2006年の会社法改正により、それまで設立可能であった有限会社の新規設立が不可能となりました。有限会社に代わって導入された形の合同会社は、決算公告義務が存在しない点や、出資を行う者が社員となる点など、有限会社との共通点も多くなっています。

持分会社と株式会社の違い

持分会社と株式会社は、どのような点で異なっているのでしょうか。本章では、持分会社と株式会社の違いについて解説を行っていきます。

会社の所有形態が異なる

既に述べた通り、株式会社では、所有と経営が分離しているのに対して、持分会社では、所有と経営が一致しています。そのため、株式会社では、出資を行わずに経営のみを行ったり出資だけすることも可能ですが、持分会社では、そのようなことはできません。この点が両者の大きな違いです。

株式会社は、発行された株式の保有割合に応じて、出資者である株主が経営に関与することができます。出資者である株主は、同時に株式会社の所有者でもあり、保有する株式は原則として自由に譲渡することが可能です。

一方で、持分会社の出資者であり、所有者でもある社員は、出資比率に応じた持分を保有しています。持分は社員としての地位であると同時に、利益の分配などを受ける権利でもあります。また、社員が持分譲渡するには、原則として他の社員の同意を要する点も譲渡が自由な株式会社と異なる点です。

役員に関するルールが異なる

株式会社と持分会社では、役員に関するルールも異なります。株式会社には、機関として取締役や監査役などの役員が置かれています。持分会社の役員に相当するのが、合同会社を代表する代表社員や、業務を執行する業務執行社員です。

株式会社の役員もストップオプションなどにより、会社の株式を保有している場合があります。しかし、株式を保有することが役員就任の条件であるわけではありません。対して、持分会社では、役員となるためには必ず持分を保有している必要があります。

また、役員の任期においても株式会社と持分会社では異なったルールが設けられています。例えば、取締役の任期は原則2年であり、非公開会社であっても最長10年です。重任や再任されることがあるとはいえ、無期限で役員の職に就けるわけではありません。しかし、持分会社の役員には任期の定めがなく、無期限で役員の職に就くことも可能です。

機関運営に関するルールが異なる

株式会社では、事業譲渡や合併など、重要事項の意思決定には株主総会を開催しなければなりません。また、毎事業年度終了後に株主への報告のため、定時株主総会を開催することも必要です。

持分会社でも社員総会の開催は可能ですが、意思決定において必須というわけではありません。

持分会社を設立するメリット

株式会社ではなく、持分会社を選択する理由はどこにあるのでしょうか。本項では、持分会社設立のメリットについて解説します。

会社設立や運営のコストが低い

株式会社と異なり、持分会社では、設立時の定款認証は不要です。定款認証には、3万円から5万円の費用が掛かるため、持分会社ではそのコストを削減することが可能となっています。

また、設立登記における登録免許税でも、株式会社が最低15万円必要なのに対し、合同会社であれば最低6万円で済むなど、持分会社は設立のコストが低くなっています。

株式会社と異なり、持分会社では、会社の重要事項を決定するために総会を招集し、決議を行う必要がありません。そのため、スピーディーに会社の意思決定が可能な点もメリットの1つです。

会社のルール設計の自由度が高い

持分会社では、株式会社に比べて定款自治の幅が広くなっています。そのため、利益の分配や重要事項の決定方法などについて定款で自由に定めることも可能です。

もちろん株式会社においても、定款自治は認められていますが、その内容の自由度は、持分会社の方が高くなっています。また、株式会社に比べて会社法における縛りが少ないため、利益分配や意思決定権限などについても会社独自のルールを設定しやすくなっています。このような自由度の高さは、持分会社設立の大きなメリットといえるでしょう。

持分会社のデメリット

持分会社設立のメリットについて解説しましたが、持分会社の設立にはデメリットも存在します。本章ではデメリットについて項目を分けて解説を行います。

資金調達の選択肢が限られる

持分会社のデメリットとしては、資金調達の選択肢の少なさが挙げられます。持分会社では、株式を発行しないため、株式による増資や資金調達が行えません。そのため、資金調達は専ら社員からの出資や、金融機関の融資に頼らざるを得なくなるでしょう。

株式会社であれば、株式を発行することで、ステークホルダーを増やしながら、事業を成長させることが出来ます。しかし、持分会社ではこのような方法を取ることが出来ず、デメリットの1つとなっています。

戦略的に役員や株主を増やすことが難しい

持分会社は、所有と経営が分離していない関係上、役員となるには必ず出資者である社員であることが前提です。そのため、出資元や提携先から役員就任するといった提携手法が使いづらくなっています。このことは、業務提携による役員強化やM&Aを活用した成長がしづらい点にも繋がっています。

株式会社であれば、監査委員会や報酬委員会を設置するなど、会社のフェーズに合わせた機関の再設計が可能です。しかし、そのような制度のない持分会社では、フェーズに応じた機関の再設計は困難となるでしょう。

株式会社よりは信用度が落ちる可能性がある

冒頭でも述べた通り、日本における企業のほとんどは株式会社であり、持分会社は、知名度において圧倒的に劣ります。知名度の高低は、現実的には会社の信用にも関わる問題であり、事業運営におけるデメリットとなるでしょう。

また、持分会社は、資本的にも人員的にも規模が小さいことが多くなっています。一概にいえることではありませんが、一般的に規模の大きな会社の方が信用度は高くなるでしょう。持分会社は、規模の小さい会社であるという先入観を持たれることも、信用を得づらい原因となり得ます。

持分会社の特性を理解し活用しましょう

ここまで持分会社の種類や、株式会社との違い、設立におけるメリット・デメリットなどについて解説してきました。

持分会社には、知名度の低さや資金調達の困難さなど、設立におけるデメリットも存在します。しかし、設立や運営におけるコストが掛からず、スピーディーな意思決定が可能といったメリットも同時に存在する会社形態です。

持分会社は、その特徴やメリット・デメリットを良く理解すれば、有効に活用可能な会社形態です。法人設立の際には、当記事を参考に持分会社への理解を深め、選択肢の1つとしてみてはいかがでしょうか。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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