起業のために法人設立を検討している際に手続きについて調べていると「発起人(ほっきにん)」という耳慣れない言葉を多数目にすることになります。
発起人という言葉から会社の設立に何らかの形で関与するのだろうという予想は多くの方がつくものと思いますが、他方で具体的になにをするのか、また設立に必要不可欠なのかなどについてはよく分からないという方が多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では発起人について資格や役割などを分かりやすく解説します。
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発起人とは
発起人の役割や資格について解説する前にまずは発起人の概要について解説します。
発起人なくして会社の設立は不可能
会社法(以下「法」という)では、会社の設立にあたっては1人以上の発起人が定款を作成し、発起人全員が署名することが定められています(法第26条第1項)。
会社の設立方式には、発起人が会社成立時に発行される全ての株式を引受ける発起設立と、発起人が一部のみを引受ける募集設立の2つの方式があります(法第25条第1項第1号、第2号参照)。
発起人全員の署名が必要な点はいずれの方式でも変わりません。
こうした法律からも分るように、会社法上、会社の設立に当たっては必ず発起人が必要となります。
この発起人は、法の定めに従って設立手続きを行う者であり、会社設立の企画・事務を行宇他にも、会社が設立の際に発行する株式を引受け、その対価として出資を行います(法第25条第2項)。
そのため、発起人は会社設立時に定款の作成等の設立手続きを行う一方で、設立後は会社の株主となります。
なお、会社法上発起人と扱われるためには、こうした会社の設立手続きをしたり、出資をしたりといった行動をすれば扱われるものではなく、定款に発起人として署名した者のみが発起人として扱われます。
したがって、後述する発起人の責任などはあくまでも発起人として定款に署名した者のみが負うことになる点は押えておきましょう。
発起人と取締役の違い
会社の基本的な事項について決定を行う機関として取締役があります。発起人は前述の通り会社の設立手続きなどを行うのに対し、取締役は設立後の会社において経営や会社の業務執行を行う機関という点で異なります。
また、会社設立時の取締役の選任も発起人によって行われます(法第38条第1項)。このように発起人と取締役は役割が異なっています。
発起人の資格
発起人の資格や人数について会社法上は特に制限はありません。外国人、未成年者、自己破産した者や法人であっても発起人となれます。
ただし、未成年者の場合には法定代理人の同意書、印鑑証明書、戸籍謄本等が別途必要となります。また、印鑑登録は15歳未満の者はできないため、発起人となることができるのは事実上15歳以上の者に限られることになります。
法人が発起人となった場合、発起人は前述の通り設立後の会社の株式を引受けることとなります。一般的には、発起人となった法人が過半数以上の株式を引受け子会社とするケースが実務上よく見られます。
なお、前述の通り発起人は設立時取締役の選任を行いますが、発起人自身が設立時取締役として自身を選任することで発起人が取締役となることも可能です。
発起人を決定する際の注意点
会社の設立において重要な役割を果たす発起人ですが、決定する際にはどういった点に注意すべきでしょうか。
発起人が複数人の場合
前述の通り発起人の人数には制限はありません。出資者や会社設立の事務を担当する人数が増えれば、その分出資額が増えるほか、会社設立事務の負担を分散させることができます。そのため、複数名が発起人となるケースは実務上よく見られます。しかし、複数人を発起人とする場合には以下の2点に注意しましょう。
①会社設立まで時間がかかるリスク
発起人は会社設立の事務や企画を行いますが、発起人が複数となった場合、こうした会社設立に関して意見が割れた場合があります。こうした発起人間の意思決定については特にルールが無いため意見の調整に時間がかかることがあり、その場合には会社設立まで時間がかかってしまいます。
また、発起人は印鑑証明書が全員分必要になるためこうした必要書類が人数分増えることも時間がかかる一因となり得ます。
そのため、発起人が複数となる場合にはあらかじめ分担しておくことや、意見が割れた場合の決定方法について決めておくことが良いでしょう。
②設立後の会社の支配権を一部の発起人が握る可能性
発起人は設立後の会社の株式を引受けることとなります。発起人が複数人となる場合、発起人間の株式の所有割合によっては、会社の株式の過半数を一部の発起人が握ることになります。
会社法では、会社の重要事項については株主総会決議により決定することとなっており、株式の議決権数によって賛否が決定されます(法第295条第1項、第309条参照)。
そのため、発起人間の所有株式の割合によっては決議に必要な数を一部の発起人が握ることで会社の支配権を握られてしまうことになるリスクがあります。
設立後の会社の株式の引受数については、発起人の出資に応じることになるため、事前に発起人間で出資については設立後の会社の株式割合を考慮に入れた上で出資の比率を決めることが重要となります。
発起人が一人の場合
これに対して、発起人が一人の場合には、発起人が設立後の会社の株主であり、多くの場合取締役となるため、会社設立や設立後の会社に関する意思決定などで意見が対立する危険や支配権が一部の発起人に集中してしまうというリスクは無いため、特に注意すべき点はありません。
ただし、会社設立の事務などを一人でやる必要があるため、事務負担が重くなる点には注意しておきましょう。
発起人の役割
では、発起人は具体的にはどのような役割を果たすのでしょうか。ここからは発起人の役割と注意点について詳しくご解説します。
発起人の主な役割
発起人の主な役割は以下の通りです。
①会社の概要の決定
4で行う定款の作成に当たっては、会社の商号、本店所在地、事業内容といった会社の概要をあらかじめ決めておく必要があります。こうした点を決定するのは発起人の役割です。
②開業準備、営業活動
会社の設立後にスムーズに事業を行うためには、オフィスの賃貸借契約や商品の仕入れ、取引先の開拓などを行う必要があります。
③原資(資本金)の出資
前述の通り、発起人は出資を行う必要があります。出資は通常は金銭で行われますが、定款で出資の目的物や発起人の氏名等を記載する等の会社法上定められた手続きを行う必要があります(法第28条参照)。
現物出資を行う場合には、原則として検査役調査が必要となります。こうした検査役の選任は出資された財産の価値が適正かを確認するために行われるため、現物出資が相当である事を弁護士や税理士などの証明を受けたとき等の場合には例外的に不要となります(法第33条第10項各号参照)。
ただし、原則は現金での出資となる点は理解しておきましょう。
なお、金銭の出資は払込みと呼ばれており、払込みは発起人が定めた払込取扱機関(銀行・信託銀行など)でなされます。
④定款の作成
定款には、会社の目的、商号、本店所在地、出資額、発起人の氏名・住所を記載する必要があります(法第27条)。
こうした定款に必ず記載する事項を絶対的記載事項といい、3に記載した現物出資のように、定款に記載して初めて効力を生じる事項を相対的事項といいます。
また、定款を作成した後は公証人の認証を受ける必要があります(法第30条第1項)。公証人の認証は、設立する会社の本店所在地のある都道府県内の公証役場でやることになる点には注意しましょう。
⑤会社設立手続き
会社設立手続きとしては、設立時取締役の選任や会社設立の登記があげられます。登記申請に当たっては、登記申請書の作成、定款や資本金の払込証明書、役員の就任承諾書など必要な書類を、本店所在地を管轄する法務局へ提出し登記を行います。
スムーズに登記を行うために、必要な書類はあらかじめ準備しておきましょう。
⑥設立時発行株式の引き受け
発起人は出資を行い、1株以上は必ず株式を引受けます。そのため、必ず設立後の会社の株主となります。会社の株式をどの程度引受けるかは発起人の人数や会社の設立方法によって異なるため、留意しておきましょう。
発起人の責任
会社の設立を行い、会社の設立後は会社の株主等となる発起人ですが、会社法上はどのような責任を負うのでしょうか。ここからは発起人の負う責任について解説します。
発起人が負う責任
発起人は出資するだけで無く、会社の設立を行います。そのため、会社設立に関する責任を負うことになります。具体的には以下の責任を負います。
①現物出資した場合の責任
出資は、原則として金銭ですが不動産などの現物出資を行った場合、その出資評価額が定款に記載された価額に達しなかった場合、発起人は不足額を支払う責任を負います(法第52条)。
②設立手手続きにおける損害賠償責任
会社の設立手続きなどにおいて、発起人がその任務を怠り会社に損害を与えた場合、損害賠償責任を負います(法第53条)。
③会社不成立の場合の責任
株式会社が成立に至らなかった場合、その後始末について発起人は責任を負います。具体的には設立のために会社のために行った契約等の行為について発起人が責任を負います。また、設立に関して支出した費用は全て発起人が負担することになります(法第56条)。
発起人の役割を理解することでスムーズな会社設立を
会社の設立に必要な設立手続きを行い、会社の成立後は株主となる発起人は会社の設立前後を通して重要な役割を果たします。そのため、会社設立に関する手続きの内容や責任について理解しておく必要があります。
本記事を参考に発起人の役割や責任を再確認し、スムーズな会社設立を行いましょう。
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