資産管理会社の定款内の事業目的の記載例

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投稿日:2024.03.12
資産管理会社の定款内の事業目的の記載例

資産管理会社とは、その名の通り「資産を管理するための会社」です。

従来は複数の不動産や金融資産などを保有する富裕層が節税対策のために設立する、主たる事業を持たない法人と考えられていましたが、最近ではそれだけに留まらず、より広い場面で活用される傾向がみられます。

例えば不動産投資や副業で利益を上げている会社員が個人の資産や収益を管理するために設立するケースや、個人事業主が税金面のメリットや社会保険への加入などのために、いわゆるマイクロ法人を設立するケースなども珍しくはありません。これらは目的は異なりますが、形式としては従来の資産管理会社と近いともいえます。

今回の記事では、資産管理会社によって生じるメリットや設立までの手続きから、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載される会社の「目的」の記載方法について詳しく解説します。事業目的は会社の存在を定義する重要なポイントですから、資産管理会社に興味を抱いている方はぜひ最後までお読みください。

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定款内の事業目的とは

会社が存在するには、「どのような事業を行うか」を明確に定めなければなりません。これが定款に記載すべき事業目的であり、会社としての権限の範囲に影響し、会社を特定する要素となるため、重要な事項といえます。

会社の事業目的が記載される

生まれながらに権利・義務の主体となれる「個人」とは異なり、「会社」は会社法などのルールに従って設立され、登記されなければ存在できません。つまり設立時に事業目的を定めることで、この範囲内に限って権利・義務の主体となることができるとされています。

事業目的は、会社の名前などと同様に会社の個性を表す重要なポイントです。このため会社設立時には、商号や所在地とともに「目的」が記載された定款を定めることが義務付けられています。

事業目的は登記されるため、第三者でも閲覧が可能です。取引先が登記事項証明書などを取得することで、「どのような会社であるか」を判断する材料としても利用されます。

このため目的を定める際には、第三者から分かりやすいように、できるだけ明確かつ具体的な言葉を使うことが望ましいでしょう。仮に目的に記載されていない事業を営んだとしても罰則などはありませんが、会社の目的が実態に即していなければ、取引の際や融資を受ける際に信頼を損なう要因ともなりかねません。

事業目的は定款における絶対的記載事項の一つ

事業目的は、会社設立時に作成する定款に必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」の一つです。

定款とは、名称や組織体制など会社の根幹を定めたルールで「会社の憲法」とも呼ばれます。定款の記載事項は法律に定められており、大きく分けて「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の三つで構成されます。

絶対的記載事項は「必ず定めなければならない事項」、相対的記載事項は「定めなくてもよいが、定款に記載しなければ効力が生じない事項」、任意的記載事項は「定款に定めることができるが、定款に定めなくても効力が生じる事項」となります。

このうち絶対的記載事項には、以下のような項目が規定されています。

1.目的

2.商号

3.本店所在地

4.設立に際して出資される財産の価額または最低額

5.発起人の氏名または名称および住所

6.発行可能株式総数

これらの6項目は、いずれも記載しなければ定款として成立しない項目です。また、設立するのが株式会社であれば、作成した定款は公証人の認証を受ける必要があることも知っておきましょう。

前述の通り定款は「会社の憲法」とも呼ばれる重要なルールです。これが適法かつ正当に作成されていることを裏付ける手続きとして、認証を受けることが義務付けられているのです。

事業目的は変更することも可能

会社の運営を進めていく中で、設立当初に定めた目的に含まれない事業を手掛けることになったり、業態を変更する必要に迫られたりする可能性もあるでしょう。その場合、事業目的を変更することも可能です。

とはいえ事業目的は、会社の存在意義ともいえる重要な要素です。このため変更には、株式総会での特別決議(議決権の3分の2以上の賛成を必要とする決議)が必要とされています。さらに変更後には、2週間以内に法務局に登記申請をしなければなりません。この登記申請により、登記簿謄本(登記事項証明書)に新しい目的が反映されます。

このような厳格な手続きが必要とされる事業目的の変更ですが、新規事業への着手などの状況を踏まえて、常に最新の状態にアップデートされていることが望ましいです。特に行政の許認可が必要な事業を手掛ける際には要注意です。許認可によっては特定の事業目的が記載されていなければ、許可を得ることができないものもあります。

事業目的に記載のない事業を行った場合のリスク

仮に会社の事業目的に記載していない事業を行ったからといって、罰則などがあるわけではありません。新たに生じたビジネスチャンスをつかむために事業目的を追加するケースなどを想定すれば、実際には「変更登記の完了を待ってから動き出す」ことが合理的とは考えにくいでしょう。

ただし、定款に記載された目的と実際に行っている事業に大きな乖離があれば、取引や融資の際に先方からの信用を損なう恐れがあることも否めません。また許認可が必要な事業だけでなく、補助金・助成金などを活用する場合にも、その事業が目的に定められていることが必須です。

このため目的を定める際には、設立当初から行う事業だけでなく、将来的に手掛けたい事業なども踏まえて広めに検討することが望ましいといえます。

事業目的記載におけるルール

定款に記載する事業目的には、決まった様式や特定の文言などがありません。しかし、その事業目的を見た第三者が、「どのような会社であるか」をしっかりと認識できることが大切です。

表記ルールと前提となる3つのポイント

会社の目的を定めるには、いくつかのポイントを押さえておかなければなりません。定められたルールに従って表記することと、定められた目的が「適法であること」「営利を目的とすること」「明確に理解できること」です。


適法性

会社として法人格を得るためには、適法な事業目的が必要であることは言うまでもないでしょう。詐欺や賭博など、利益を上げる手段が不法行為である場合はもちろん、公序良俗に反する内容は当然に認められません。

また、いわゆる士業のように、他の法律で定めた者でなければ行えない業務を盛り込むことができないことも知っておきましょう。

営利性

会社は「営利を目的とした法人」と規定されているため、利益を生まない事業だけで構成された会社は存在できません。例えば従業員の福利厚生や、地域へのボランティア活動だけでは会社としては認められないのです。

不動産や株式などの資産を管理する会社であれば、その不動産を賃貸することや、株式配当などで得られる収益を目的に定める必要があることを意味しています。

もっとも、地域貢献などを含む定款が必ずしも認められないというわけではありません。会社の根幹をなす営利事業が含まれていれば、それに付随して公益事業を行うなどの目的を盛り込むことは可能とされています。

明確性

事業目的は、いわば会社の存在理由を定義するものといえます。このため第三者が明確に理解できることが必要です。一般に浸透していない専門用語や造語などでの表現は避けるべきです。

また、行政の許認可が必要な事業を想定しているのであれば、許可基準に合わせた記載をしておくことも大切です。

例えばインターネットを介して特定の中古品を売買するには古物商の許可が必要ですが、この場合、事業目的には「古物営業法に基づく古物商」という文言や、取り扱う品目(時計・衣類など)を買取・販売を行う旨などを記載しておく必要があります。

資産管理会社における事業目的の記載例

資産管理会社が行う事業は、不動産などの資産と、そこから得られる収益を管理することなどが柱となるでしょう。
会社設立時に保有する資産や取り組んでいる投資の内容に応じて、記載すべき事業目的が決まります。

資産管理会社とは?

そもそも資産管理会社とは、個人が所有する不動産や金融資産を管理する目的で設立された会社のことです。その性質から、プライベートカンパニーとも呼ばれます。

従来は、多額の資産を保有する富裕層の節税対策や、会社経営者が個人資産を別途管理するために設立されるものと考えられていましたが、不動産や株などを保有して資産運用を行う方や、副業で収益を得る会社員の方などが増加している背景から、徐々に浸透しつつある仕組みの1つです。

資産管理会社のメリット

資産管理会社を設立する理由の1つが、法人化による節税効果でしょう。

所有する不動産や金融資産などから生じる賃料収入や配当、譲渡益などには所得税や住民税が課されますが、個人の所得税と、法人の所得税には税率に大きな差があります。

個人の所得税には累進課税が採用され、最大で45%にも上る一方で、法人所得税は最大でも23.2%という税率のため、収益が大きくなるほど節税効果が高くなるのです。

また、ある事業で生じた損失を他の事業で得た収益から差し引く「損益通算」という仕組みに関しても、個人よりも法人のほうが通算できる範囲に自由度があります。さらに不動産のような分割しにくい資産を法人に移すことで、相続トラブルの防止や相続税対策などの効果も期待できるのです。

個人事業主であれば、資産管理会社の役員となることで社会保険への加入ができる点も見逃せません。これによって国民年金よりも手厚い厚生年金に加入できるからです。代表者1人で他に従業員を雇用しないマイクロ法人が注目されるのも、このようなメリットがあることに起因しています。

資産管理会社に適した会社の種類

資産管理会社に適した会社の種類は、有限責任社員(出資額を限度に責任を負う出資者)で構成される株式会社か合同会社のいずれかです。(有限会社は現在新規設立できない)

所有と経営を分離する必要性の薄い資産管理会社の場合、設立や経営のコストを抑えられる合同会社が適しているとも考えられますが、将来的な事業継承などの可能性も踏まえつつ選択しましょう。

例えば譲渡制限株式や無議決権株式などを発行する株式会社であれば、相続人の1人に経営を一任し、他の相続人には議決権のない株式を持たせることで、運営トラブルを予防しつつ資産を次世代に承継することも可能です。

資産管理会社の事業目的の一般的な記載例

資産管理会社の定款に記載する事業目的は、現在保有している資産や将来的な投資対象に従って定めるのが一般的です。具体的には、不動産であれば「不動産の保有、賃貸、管理および売買」、株式などの有価証券であれば「有価証券の保有、運用および売買」などがこれに当たります。
さらに「上記各号に附帯または関連する一切の事業」という文言を記載することで、ある程度の事業の拡大をカバーすることが可能です。

資産管理会社の事業として想定される目的の記載例は以下のとおりです。

不動産

不動産の保有、賃貸、管理および売買

株式・債権

有価証券の保有、運用管理および売買

FX

外国為替取引

暗号通貨

暗号通貨の保有、運用および売買

太陽光発電

売電事業

太陽光発電システムの保有、保守および管理

その他一般的な項目

事務、経理のアウトソーシング請負

経営コンサルティング業務

上記各号に附帯または関連する一切の事業


自社ならではの事業目的がある場合の記載例

資産管理会社を設立する目的は、単に保有資産の管理だけに留まるとは限りません。「不動産投資と並行して、アフィリエイトなどの副業で収益を上げる会社員の方が法人を設立する」なども珍しくはない事例です。

このように、資産管理だけでなく「自社ならではの事業目的」がある場合には、それを端的かつ明確に記載する必要があります。

アフィリエイトで広告収入を得ているのであれば「インターネットによる広告業務」が、ECサイトで物販を行っているのであれば「○○の販売及び輸出入・古物営業法に基づく古物営業・通信販売業」などが、それにふさわしい事業目的です。

このほか、取り組む事業に応じた目的の記載例は以下のとおりです。

経営コンサルティング

経営コンサルティング業務

○○に関わるコンサルティング業務

アフィリエイト

インターネットによる広告業務

ネット通販・ネットオークション

古物営業法に基づく古物営業

○○の販売および輸出入

通信販売業

YouTubeなどの動画配信

インターネットによる番組の制作、配信および広告業務

システム開発・保守

システムの企画、開発、運用、保守、管理およびそれらの受託

事業目的は実態に即して端的かつ明確にすることが重要

資産管理会社の設立する際の事業目的は、現在保有している資産や実際に行っている投資の内容に即して端的かつ明確に記載するのが原則です。ただし、将来的に取り組もうと考えている投資があれば、それも記載しておくことが望ましいでしょう。

事業目的が会社の信用を及ぼす影響

事業目的として定める項目には、数の制限がありません。つまり、将来的な目論見も含めて10個や20個程定める場合もあります。

しかし一方で、多すぎる事業目的によって会社の実態が分かりにくくなったり、特定の事業目的を記載することで会社の信用に影響を及ぼしたりする可能性があることも覚えておかなければなりません。

例えば同じ投資でも、賃料収入というインカムゲインを収益の柱とする不動産賃貸事業と、短期的な為替差益を狙うFXでは、その性質が大きく異なります。特に証拠金取引が主流のFXでは、多額の損失が生じるリスクが懸念されがちです。

つまり、資産管理会社が主債務者となって融資を受け、新たな不動産を取得しようとした場合、事業目的に外国為替取引業務の記載があることで金融機関の評価が低くなる可能性もあるかもしれません。
そのため、資産管理会社の事業目的を定める際には、取引先や金融機関などに与える印象なども考慮する必要があるのです。

実態に合った、第三者から見てもわかりやすい目的を意識しましょう

資産管理会社は、今では富裕層だけに関係するものではありません。投資や副業を手掛ける方が会社を設立して資産を管理・運用すれば、収益効率を向上させ、より大きな投資につなげられる可能性があるからです。

資産管理会社を上手に活用するには、的確な事業目的を定めることが最も重要なポイントといっても過言ではありません。実体に即して定義することはもちろん、第三者から見て分かりやすく、評価しやすい目的を定めることが大切です。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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