株式分割とは?
株式分割とは、発行されている株式を分割し、発行済株式の総数を増やす手続きです。分割された分だけ1株あたりの価格も小さくなりますが、もちろん物理的に分割するわけではありません。
「2分割」であれば株式の数は2倍、1株の価格は半分になりますし、「100分割」であれば総数100倍、株価は1/100になります。分割により株式の数は増えますが、会社全体の価値や資本金額はもちろん、分割前に保有者それぞれが持つ株式の価値の合計にも変化はありません。それだけに使用目的が限定される施策です。
似たような言葉に「会社分割」「増資」がありますが、それらとは明確に異なる手法です。
これらの手法との違いや言葉の定義、目的や理由については、こちらの記事も合わせてご覧ください。
企業はなぜ株式分割を行うのでしょうか?
株式分割は、株式を決まった割合で分割する手続きです。その結果、発行される株式の総数が増えます。
決まった割合で分割するので、合計の数量は増えますが、全体の価値や資本金額はもちろん、保有者それぞれが持つ株式の価値や持株比率にも変化はありません。
となると当然生まれてくるのが、「ではなぜ株式を分割する必要があるのですか?」という疑問です。
株式分割する理由は大別すると3つに集約されるといってよいでしょう。
①株式の流動性を上げるため
分割して株式の数が増えることでよりたくさんの人が株を入手できるようになります。結果として株主数が増え、株価安定につながる可能性があります。
②上場する市場を変更(指定替え)する準備のため
「東証一部」「東証マザーズ」といった上場する市場ごとに、基準となる発行株式数や売買数が決まっています。これら条件を満たすために行う場合もあります。
③配当や株主優待の方針を変更するため
分割して株主数が増えることで、配当や株主優待を増やすことができます。サービスを知ってもらったり、株主であることを通じて商品のファンになってもらうチャンスができます。
これらの理由について、以下の記事でも詳しく紹介しています。
株式分割のメリット・デメリット
もちろんですが、株式分割にはメリットもデメリットもあります。株主から見るとデメリットは少ないのですが、企業側から見ると容易に後戻りできない施策ですので十分な検討が必要といえます。
株式分割を実施する企業から見た代表的なメリット・デメリットとしては以下があります。
企業にとってのメリット
- 1株の株価が下がり株が買いやすくなる。
- 株主数が増えることで、株価形成の点で安定性が増す。
- 発行株式数などが増えることで、上場市場の指定替えに必要な基準を満たせる。
- より多くの株主に優待を提供できるようになる。長期的に会社のファンを増やすことにつながる。
- 時価総額が上昇し、新たな経営判断ができるようになる可能性がある。
企業にとってのデメリット
- 株主数が増えることにより株主総会や株主対応のコストが増える。
- 株価や流通量を大きく変化させてしまい、市場の安定を損ってしまう可能性がある。
- 業績向上が伴わない時価総額の上昇を招き、投機的な投資家が増えてしまう可能性がある。
以下の記事では企業だけでなく投資家(株主)側から見たメリット・デメリットまで詳細に解説しています。株式分割の検討時にはぜひ押さえておきましょう。
株式分割の前に、株式の種類について確認しておきましょう
「では株式分割をやろう」と思った方、手続きに入る前に自社の株式がどんな種類になっているか確認しておきましょう。
一般的な株式会社では普通株式1種類のみというケースが多いですが、中には複数種類の株式を発行している場合もあります。意図した通りに株式分割ができるのか、必ず確認しておきましょう。
以下の記事では株式種類の大分類である、
についてまとました。あてはまる可能性は低いといえますが、チェックをおすすめします。
株式分割の準備と手続きの流れ
十分な検討ができたら株式分割の実行に進みます。
ですが、株式分割には法律で決められたステップが必要なのはご存知でしょうか?
株式分割は株主総会の決議(取締役会設置会社の場合は、取締役会の決議)が必要になります。
こちらの記事では、株式分割を行うに際して、目的の妥当性を確認し、具体的にどんな手続が必要かを詳細に解説しています。忘れがちな、株式分割完了後の登記申請や法定書類の更新までカバーしました。
株式分割の登記申請には登録免許税がかかります
株式分割完了後に必ずしなくてはならない登記申請。登記簿には発行済株式の総数が記載されており、株式分割を行った際はここを変更します。
登記申請には大きく分けて3つの費用がかかります。
①登記申請の準備(申請書類作成や必要書類の準備など)
司法書士や書類作成代行サービスなどを使って準備をするのが一般的で、数万円程度かかります。自分で調べながらの作成も可能ですが、費用対効果を考えると得策ではないかもしれません。
②登録免許税(登記の種類ごとに決められた収入印紙を貼って納付します)
登記の種類ごとに定められている税金です。これはどんな方法で登記申請をした場合でも金額は同じです。
③郵送時の切手代や法務局への交通費
これら費用の中でも特に登録免許税について、以下のページにて詳しく説明しています。あらかじめかかる費用を確認しておき、余裕を持って準備しましょう。
株式分割したら登記申請や定款変更が必要です
株式を分割したら、定款や登記簿上に記載されている発行済株式の総数を変更するための登記申請をします。
その会社の発行している株式数は登記簿に記載され、誰でも閲覧できる状態になります。関係者に会社の最新の状態を示すことで取引や許認可などをスムーズにするために法律で定められた手続きで、株式分割を行ってから2週間以内の申請が必要です。
登記申請は、登記申請書に「発行済株式の総数」を記載し、添付書類として「発行済株式の総数」に変更があったことを証明できる書類を一緒に提出して行います。法務局に提出した申請が受理され、登記簿に反映されることで、株式分割に関する全ての手続が完了となります。
株式分割を登記申請する方法
この登記申請には、申請書類や添付書類の様式や項目には厳密なルールがあります。記載や書類を間違えるとやり直しとなり、時間がかかってしまうため準備には専門知識が必要です。
代表的な3つの方法を紹介します。
①司法書士に依頼する
最もポピュラーなパターンです。司法書士に依頼して必要な書類を作成してもらいます。依頼ごとに数万円~程度の報酬が必要となります。知識がなくても丸投げできるのがメリットですが、見積もりを取ったり打ち合わせの時間が必要となる場合もあります。
②ゼロから自分で調べる
登記申請方法を勉強し、自分で必要な書類を作成し郵送もしくは持参して法務局に申請する方法です。未経験者がやるにはハードルの高い作業となるでしょう。
なお、法務省のホームページにおいて、書類のひな型が提供されていますが、ミスのない書類を独力で準備するのは難しく、結局複数回の修正が必要になることが多いようです。
③オンラインで登記書類作成を支援するサービスを使う
最近増えてきた方法です。サービスのWebサイトに会員登録し、登記内容を入力すると申請書類やその他の必要書類をセットで自動作成できます。印刷、押印して郵送するだけで登記申請完了です。スピードが早く、夜や週末など作業タイミングを選ばず、費用も安くすみます。
GVA 法人登記なら、株式分割の登記書類を自分で作成、法務局に行かずに申請できます
株式分割の登記は、本店移転などに比べると手間がかかる印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか?取締役会の設置/非設置や、発行可能株式総数に変化があるかどうかで手続きが違ったりと専門知識が求められることもあります。
とはいえ、士業など専門家にお願いするとしてもやりとりに意外に手間がかかるもの・・・でも社内では自分(=代表者や役員)が対応するしかない、という方も多いのではないでしょうか?
GVA 法人登記なら、申請する登記に合わせた変更情報を入力すれば株式分割の手続きに必要な書類を最短7分&12,000円で自動作成。法務局に行かずに申請できます。
書類作成だけでなく、印刷や製本、登記反映後の登記簿謄本(登記事項証明書)の取得をサポートするオプションプランも充実。申請に必要な収入印紙もセットで購入できます。
ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます
登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。
本来であれば、法務局にて有料で書類を取得し確認する必要がありますが、GVA 法人登記の、「登記情報自動反映サービス」をご利用いただきますと、システム内で現在の登記情報を無料で取得し、会社基本情報が書類作成画面に自動反映されます。登記知識のない方でもステップに沿って変更情報を入力するだけで簡単に登記書類の作成ができます。
GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(株式分割の場合)
さらにGVA 法人登記で登記書類を作成していただいた方全員に「登記申請手続きマニュアル」をお渡ししております。作成した登記書類の製版方法や、押印する場所についてすべてまとめておりますので、流れの通りに進めるだけで手続きを終えることができます。
GVA 法人登記なら書類を郵送するだけで法務局に行かずに登記申請できます
オプションのかんたん郵送パックを利用すれば、書類作成後、押印し郵送するだけで登記申請ができるため、法務局に行かずに登記申請が可能です。仕事が忙しく法務局に行く時間がない方や、効率的に手続きを進めたい方におすすめです。
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①GVA 法人登記サービスの会員登録(無料)
②会員登録後、書類購入時に【 Ug3JNAS7sB 】を入力ください。
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おわりに
株式分割の登記申請は、他の申請と比べて数字を扱うことが多く、専門性の高い領域です。できるだけ効率化できる方法で、ミスの可能性を減らし、スピーディに登記申請できるようにしましょう。
執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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