税制適格ストックオプションとは?

ストックオプション
投稿日:2024.12.05
ストックオプション

ストックオプションとは、株式会社において役員や従業員が、自社株を一定の行使価格で購入できる権利および報酬制度のことです。

将来性のあるビジネスモデルだけど会社はまだ小さいという企業では、このストックオプションを通じて優秀な社員を採用したり、社員のモチベーションを高めるツールとしているのはご存知だと思います。

ただし、このストックオプション、実際に取得したり行使したりする機会は少ないため、詳細な特徴となるとよく知らない方も多いのではないでしょうか。

そしてその特徴の中でも登場する機会が多いのが「税制適格」ストックオプションです。
ストックオプションの発行を検討している企業であれば一度は必ず検討する仕組みといえるでしょう。

本記事ではこの税制適格ストックオプションについて解説します。

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ストックオプションの種類

ストックオプションは税制や付与される者の金銭的な負担によって3つの種類に分けられます。

無償型ストックオプション

発行されたストックオプション(SO)が無償で付与される。発行時に購入の原資が不要なので誰にでも付与しやすい。

有償型ストックオプション

発行されたストックオプションを、付与される者が有償で購入する。発行時点において発行価額の払込みが必要となるため、従業員に対するインセンティブ報酬としては利用しにくい。

信託型ストックオプション

有償ストックオプションのバリエーションの一つで、受託者にストックオプションを信託し、信託期間が終了するタイミングで、在籍年数や役職、貢献度に応じて付与されるストックオプションが決まります。

この3つのうち「無償型」において、さらに一定の要件を満たすものが「税制適格」ストックオプションです。

※有償型、信託型ストックオプションについて詳しくは以下の記事も参考ください

関連記事:ストックオプションとは?基礎知識から手続き、登記申請方法までを解説

税制適格ストックオプションとは?

税制適格ストックオプションとは、それを行使したときに得られる利益への課税を売却時まで繰り延べられる制度です。税率も譲渡所得(キャピタルゲイン課税)に当たるため20%となります。

税制非適格の場合、課税は権利行使時点(株式を購入した時点)と売却時点の2回になります。そのため、利益が確定する前に納税タイミングが来てしまう可能性があり、手元にキャッシュがないのにも関わらず、税金の支払いが生じてしまいます。税率に関しても権利行使時点では給与所得となるため、金額によっては累進課税により最大55%になる可能性があります。

ストックオプションは、従業員などに対するインセンティブとしての機能を期待されます。これらの付与対象者からみると、税制非適格ストックオプションのように、権利を行使した(= 株式を購入した)段階では売却益が発生していないので納税の原資がないことが大半です。そのため、ある条件(税制適格要件)を前提として、課税を売却時まで繰り延べられるのが税制適格ストックオプションです。

発行する企業からみても発行段階では費用の負担がないため、上場を目指すスタートアップ企業のストックオプションとしてはスタンダードな発行方法になります。


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税制適格ストックオプションに必要な条件

この税制適格ストックオプションは、税制面で優遇されていることもあり、さまざまな条件(税制適格要件といいます)が必要です。代表的なものを紹介します。

・付与対象者が社内又は子会社の役員・従業員であること
行使期間が付与決議後2年を経過した日から10年(設立5年未満の非上場会社の場合は15年※)を経過する日までであること
 ※令和5年度税制改正により延長
・権利行使額の上限が年間1200万円であること
・1株あたりの権利行使価額が発行時点の株価以上であること
・ストックオプションの譲渡禁止が規定されていること
・権利行使で得た株式は証券会社等に保管委託等されること

一般的に流通する株式であれば、いつ、いくら、誰に譲渡するのも自由ですが、このような制限を設けることで、会社に貢献した従業員や取締役に対する報酬として機能しやすい税制が適用されるようになっているのです。

ストックオプションを発行したら登記申請が必要です

株式会社が、ストックオプションを含む新株予約権を発行したら、割当日から2週間以内に会社の登記簿に変更を申請する必要があります。

ストックオプションの登記で記載される項目は多岐にわたります。

・新株予約権の名称(「第◯回 新株予約権」などの形式が多い)

・割り当てる新株予約権の数

・新株予約権の目的である株式の種類及び数又はその数の算定方法
 新株予約権を行使した時に発行される株式の種類や数、算定方法が記載されます。

・新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
 行使する際に払い込む金額(行使価額)などが記載されます

・新株予約権を行使することができる期間

・新株予約権の行使の条件
 退職した場合は行使できない、といった条件が定められています

・会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件

・新株予約権の発行日


登記申請が必要な他の項目に比較して、ストックオプションの登記は複雑になる傾向があります。しっかり理解して専門家に相談するか、専用の支援サービスの活用をおすすめします。

GVA 法人登記なら、新株予約権の発行(ストックオプション)の登記書類を自分で作成、法務局に行かずに申請できます

株式会社の新株予約権の発行(ストックオプション)による登記は、本店移転などに比べると手間がかかる印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

GVA 法人登記なら、新株予約権の名称や総数などの必要情報を入力するだけで株式会社の新株予約権の発行による変更の登記(ストックオプション)に必要な書類を自分で作成、法務局に行かずに申請できます。書類作成にかかる費用は32,000円なので、司法書士など専門家に依頼するよりもリーズナブルです。

GVA 法人登記は、株式、合同、有限会社の役員変更や本店移転登記など、10種類以上の変更登記に対応しており、複数の書類作成も可能です。



GVA 法人登記が対応している登記種類

  • 本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
  • 役員変更(新任、辞任、重任、退任)
  • 役員の住所変更
  • 募集株式の発行
  • 商号変更
  • 目的変更
  • 株式分割
  • 剰余金等の資本組入れ
  • ストックオプション


ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます

登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。

本来であれば、法務局にて有料で書類を取得し確認する必要がありますが、GVA 法人登記の、「登記情報自動反映サービス」をご利用いただきますと、システム内で現在の登記情報を無料で取得し、会社基本情報が書類作成画面に自動反映されます。登記知識のない方でもステップに沿って変更情報を入力するだけで簡単に登記書類の作成ができます。



GVA 法人登記で作成できる新株予約権の発行(ストックオプション)による変更の登記の書類

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 新株予約権割当契約書
  • 登記申請書
  • 取締役会議事録

※申請状況により、一部作成されない書類もございます

さらにGVA 法人登記で登記書類を作成していただいた方全員に「登記申請手続きマニュアル」をお渡ししております。作成した登記書類の製版方法や、押印する場所についてすべてまとめておりますので、流れの通りに進めるだけで手続きを終えることができます。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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