商号変更(社名変更)とは?
商号は、会社の名前という意味を持っています。すなわち、商号変更はその名の通り、会社の名前を変更するという意味です。
商号は、定款の絶対的記載事項の1つになっており、変更が生じたら変更登記を2週間以内にしなければなりません。
商号変更、社名変更、法人名変更の違い
前述の通り、「商号変更=社名変更」となります。一般的には社名変更と呼ぶことの方が多いですが、登記上は商号となっていますので、社名を変更した際の変更登記のことを「商号変更」と呼ぶことを覚えておいてください。
また、会社も含めた法人を含めて「法人名変更」と呼ぶ場合がありますが、これもほとんど同じ意味です。
商号と屋号の違い
商号と似た言葉に「屋号」があります。
商号は会社法上の用語として法人の名称を示すもので、必ず付ける必要があります。屋号は個人事業主が商業主体として契約をする際などに利用され、必ずしも付けなくてもよいといった違いがあります。
関連記事:屋号とは?商号・法人名・会社名・事業者名との違いをわかりやすく解説
商号変更の基礎知識と規則、留意すべき点は?
社名は会社の業績を左右する大切な要素です。同じ事業を営んでいても、社名一つで業績が大きく変わることもあります。社名の変更を検討している場合は、その社名変更が本当に必要なのかを十分に考えて下さい。社名変更が必要だと判断した場合は新たな社名を考えましょう。
社名変更の際には守らなければいけないルールがあります。せっかく考えた社名が使用不可だと無駄になってしまいますので、予め基礎知識を理解した上で新たな社名を考えましょう。
商号変更(社名変更)に伴うリスクを考慮する
新たな会社の展開や事業展開に伴う商号変更(社名変更)ですが、メリットがある反面、下記のようなリスクも伴います。
- ゼロから社名を覚えてもらい直す必要がある
- 旧社名の記載があるものを全て作り直し
- 費用が掛かる
- イメージの変化による顧客への悪影響
商号変更(社名変更)の際にはメリットばかりに目を向けずに、変更に伴うリスクもしっかりと考慮しましょう。リスクの方が高いと判断した場合は、商号変更(社名変更)を取りやめるのも一つの判断となります。
関連記事:社名変更(商号変更)の理由と、変更によるメリット・デメリット
関連記事:商号変更により社名を変更するリスクとは?
商号変更の理由と目的を考慮する
商号変更(社名変更)を決断するには様々な状況がありますが、一般的には下記の様な理由が多いです。
- 社名を知名度の高いサービス名やブランド名と統合する
- 会社の合併や分社化による商号変更(社名変更)
- 新規事業に伴う商号変更(社名変更)
- 新ブランド確立に伴う商号変更(社名変更)
- 覚えやすい社名への変更
このような商号変更(社名変更)の目的はどれも「業績アップ」を目的としています。明確な目的があれば問題ないのですが、例えば「カッコいい社名にしたい」など、目的が不明確な商号変更は危険です。しっかりとした理由と目的を掲げた上で、会社にとってメリットのある商号変更(社名変更)を目指しましょう。
関連記事:社名変更と商号変更の違いや変更事例を5タイプから解説
集客や業績アップを意識して商号変更にするには?
商号変更(社名変更)を検討する一番の理由は、現状よりも多くの集客や業績アップの為です。現在の集客の中心と言えばやはりインターネットでしょう。インターネットでの集客をメインに考える場合は、「以下に検索されるか」が重要になります。
集客の経路はどこからか、どのように業績アップを試みるかによっても新しい社名の付け方が変わってきます。商号変更後に失敗したことに気づいても遅いので、予め綿密な計画を立てた上で商号変更(社名変更)を検討しましょう。
関連記事:集客や業績アップを意識した商号変更(社名変更)の際に考慮すべきこととは?
社名をブランド名・サービス名に統一する
自社サービスや自社ブランドを展開していると、場合によっては社名よりもサービス名・ブランド名の方が世間に浸透する場合があります。実際に社名を自社のサービス名・ブランド名に変更し、大成功している企業が多く存在します。
社名をサービス名・ブランド名に統一することでお客様に覚えてもらいやすくなり、業務上の相手先にも覚えてもらいやすくなるメリットがあります。もちろんサービス名やブランド名をそこまで浸透させるには時間が必要ですが、統一することにメリットがあると判断した場合は積極的に検討しましょう。下記の関連記事に実際に社名を統一した例が記載してありますので、興味のある方はご確認下さい。
関連記事:会社名をブランド名・サービス名・商品名に変更するメリット
商号変更をして成功した有名企業
皆さんが良く知っている企業の中には、商号変更を行い成功した企業があります。下記はその中の一例です。
(旧社名)株式会社早川金属工業研究所 → (新社名)シャープ株式会社
(旧社名)松下電器産業株式会社 → (新社名)パナソニック株式会社
(旧社名)有限会社春日無線電機商会 → (新社名)株式会社ケンウッド
(旧社名)日本警備保障株式会社 → (新社名)セコム株式会社
旧社名を見ると、元々こんな名前の会社だったんだ…。と思いますよね。この他にも多くの企業が商号変更を経て大企業に成長しています。その他の企業は下記の関連記事でご確認下さい。もちろん、一度の社名変更で新社名になっているのではなく、何度か変更した上で、今の新社名になっている企業もあります。
関連記事:商号変更(社名変更)をした有名企業のご紹介
商号変更するなら漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットの何を選ぶべき?
商号には、ひらがな、カタカナ及び漢字の日本文字の他アルファベット・アラビア数字・一部の記号の使用が認められていますが、それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。例えば海外進出を考慮するなら海外の人にも覚えてもらいやすい「アルファベット」、子供向きの事業を展開するなら子供が覚えやすい「ひらがな」など、営む事業によっても変わってきますので、自社のイメージに合ったものを選ぶと良いでしょう。
話が少しそれますが、昔はアルファベットやアラビア数字の仕様が認められておらず、「カタカナ」で登記している会社が多くありました。例えばTDK株式会社などは昔は「ティーディーケイ株式会社」で登記されていました。
関連記事:社名(商号)を変更するなら漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットどれが良い?
商号変更したら登記申請が必要です
商号変更をした場合は、商号変更登記申請が必要になります。商号は前述の通り、定款の記載事項ですので、定款を変更するための株主総会を開き議事録を作成します。議事録は商号変更登記申請に必要な書類ですので、申請前に必ず準備をしておきましょう。
商号変更登記の申請には一般的には下記の3つの方法があります。
- 自分で変更登記申請
- 司法書士に依頼する
- オンラインサービスを利用する
自分で変更登記申請をする場合はコストが掛からないというメリットがありますが、非常に手間が掛かります。特に登記の知識が全く無いという方は非常に厳しいと思います。また、登記の知識を身に着けても会社の事業には役に立ちませんので、あまりおすすめできません。
司法書士に依頼する場合は全て丸投げできるというメリットがあります。ただし、場合によっては対面での打ち合わせなどが必要な場合があります。また、司法書士に依頼する場合は報酬の支払いが発生します。商号変更登記申請を依頼した場合は一般的に数万円程度の報酬の支払いが発生するようです。
商号変更における登録免許税
変更登記申請時は登録免許税の支払いが必要となり、申請方法に関わらず同じ額の支払いが発生します。商号変更登記申請時は会社の規模などは関係なく固定で30,000円の支払いが必要です。
登録免許税は収入印紙による支払いが一般的です。収入印紙貼付台紙に収入印紙を貼付し、申請書等と一緒にご提出下さい。収入印紙は法務局の他、近くの郵便局で購入することが可能です。
目的変更登記の予定があるなら商号変更登記と一緒に申請するのがおすすめです
商号変更登記時に支払う登録免許税と目的変更登記時に支払う登録免許税は両方とも30,000円となり、別々に変更登記申請をした場合は計60,000円の登録免許税の支払いが必要となります。
しかし、意外と知られていないことですが、商号変更登記と目的変更登記を同時に申請した場合は登録免許税の支払いは30,000円で済みます。商号変更登記と同時に目的変更登記の必要がある場合は、同時に申請するとお得になります。
商号変更後に必要な手続き
商号変更後には、商号変更登記をはじめ多くの手続きが必要となります。役所への手続きに関しては期限が設けられているものもありますので、十分にご注意下さい。下記に手続きの一覧を記載しますが、詳細は関連記事をご確認下さい。
役所への手続き
- 法務局へ商号変更登記申請
- 税務署への届出
- 都道府県税事務所への届出
- 市区町村への届出
- 年金事務所への手続き
- 労働基準監督署への手続き
- 公共職業安定所への手続き
- 従業員が住んでいる市区町村への手続き
役所以外への手続き
- 金融機関への手続き
- 公共料金などの手続き
- 取引先・契約先企業への通知
- 名刺・パンフレットなどの作り直し、ホームページの記載変更
ここに挙げているものは基本的に手続きが必要なものですので、これ以外にも社名変更をしたことによる手続きの変更の必要があるものをご確認下さい。
関連記事:商号(社名)変更後に必要な手続きや届出先
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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