合同会社とは?メリット・デメリット、株式会社との違いについて解説

商業登記の基礎知識
投稿日:2023.01.18
合同会社とは?メリット・デメリット、株式会社との違いについて解説

合同会社とは、会社法が2006年5月に施行された際に導入された新しい会社形態です。

合同会社は、アメリカの会社形態 LLC(Limited Liability Company)がモデルとなっています。これから、「合同会社とは?」「合同会社の役職」「株式会社と合同会社の違い」「合同会社のメリット」「合同会社のデメリット」「合同会社の設立の流れ」とわかりやすく解説していきます。

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合同会社とは?

現在、会社法により設立できる会社は株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類となっています。株式会社は株主がいますが、そのほかの3つの会社は、株主にあたる社員が持分をそれぞれ持ち、合同会社、合資会社、合名会社は持分会社と呼ばれます。
2023年10月開始予定のインボイス制度を控え、設立が株式会社と比べると簡易な合同会社が増える傾向となってきています。以下、合同会社の特徴からお伝えしていきます。

合同会社の特徴

持分会社のひとつである合同会社は、有限責任社員で構成される会社です。合同会社の社員は、株式会社の株主のように、例えば、会社が借金を返せなくなったというときでも、有限責任社員は持分会社に出資した範囲内での責任を問われるだけとなります。また、決算の公告義務や任期の定めがないこと、株式会社よりも、簡単な手続きで設立費用も低く抑えて設立できるのが大きな特徴です。

合同会社の略は(同)

合同会社が増えてきているとはいえ、合同会社の認知度はまだ低いかもしれません。株式会社の略称は、(株)ですが、合同会社の略称は(同)です。銀行の振込みでは、(ド)、(ド、ド) となります。

合同会社における役職

代表社員

合同会社の代表社員は、株式会社の代表取締役のように会社を代表する立場です。合同会社では、原則、各社員が業務執行権及び代表権を有しますが、意思疎通が不十分になり、混乱を招く事態に発展する恐れもあります。そういったことを防ぐためには、定款の規定により、特定の社員のみを代表社員とすることができます。

業務執行社員

合同会社の業務執行社員は、業務執行の決定を行う社員のことで、株式会社の取締役のような立場です。定款で特別な定めがない場合は、原則として出資者全員が業務執行社員となりますが、経営の能力のある一部の社員にすべて任せた方が良い場合もあります。その場合は、定款によって、業務執行権を持つ業務執行社員を定めて、経営に携わる社員と経営に参加しない社員を分けることができます。

株式会社と合同会社の違い

株式会社と合同会社の大きな違いは、所有と経営の分離がされているか、いないかの違いです。株式会社では、経営を行う役員と会社を所有する出資者である株主が異なるため、株主総会でそれぞれの意見をすり合わせる必要があり、会社の意思決定に時間がかかります。一方で、合同会社は経営者と出資者が同じであり、株主総会を開く必要がないためスピーディに行われるという傾向にあります。

合同会社のメリット 

設立費用が安い

合同会社の設立の登録免許税は6万円~と、株式会社15万円~と比較して、9万円も安くなっています。また、定款認証は不要のため、公証役場での手続きや定款認証費用(約5万円)は発生しないことから、株式会社に比べ、設立コストは低く抑えられます。

会社運営の自由度が高い

合同会社は、意思決定の方法や利益配分などを自由に設計することができます。これは所有と経営が一致することから、定款に定めることで柔軟な対応が可能とされています。自由度高く設計できるため、大手企業同士の合弁会社などでも、合同会社が活用されているケースがあります。

法人としての節税を受けられる

個人で事業と合同会社では、認められる節税方法に大きな違いがあります。個人事業主の所得税は累進課税で最高税率は45%にもなりますが、法人税は比例課税であり、実効税率は最高23.2%程度となり、所得が一定以上になった場合に支払わなければならない税金が安くなります。節税面で、個人事業主が法人化を検討されることが多いでしょう。

定款の認証が不要

株式会社を設立する場合は、定款の作成と公証人による定款の認証が必要なため、手数料3万円と手続きでおよそ1週間ほどの日数がかかってしまいます。
一方、合同会社の場合は、定款認証が不要ですので、会社設立のための手間や費用を抑えられます。

合同会社のデメリット

社会的な認知度が低い

近年ではだいぶ一般に認知されてきましたが、それでも株式会社と比べると、社会的な認知度はどうしても低くなります。そのため、場合によっては取引や信用性において影響する場合があります。

大きな資金調達が難しい

合同会社の特色から、社員として加入するハードルが高く、幅広い資金調達というものは現実的ではありません。

上場できない

株式上場を始め、株式交換や株式移転といった組織再編も実施することができません。

社員を増やしづらい

合同会社は、社員の意思が大きく尊重されます。出資額にかかわらず、社員の全員の同意などが求められる場面もあるため、社員が多数存在すると、意見を統一できず、意思決定ができないという状態となる恐れもあります。

合同会社の設立の流れ

合同会社の設立の流れ



定款の作成

はじめに、会社の基本的な規則・ルールである定款を作成します。定款は社員になろうとする人全員で作成し、署名または記名押印をしなければなりません。紙で作成することもできますが、電磁的記録で作成することもできます。
なお、株式会社の設立をする場合には、定款に公証人の認証を受けなければなりませんが、合同会社では認証を受ける必要はありません。
定款に記載する項目としては、次の3種類に区分されます。

①絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、会社法で定められた定款に必ず記載しなければならない事項です。この項目について記載漏れなどがあると、定款そのものが効力を生じません。 

  • 目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 社員の氏名または名称および住所
  • 社員が有限責任か無限責任か(合同会社の場合は全員が有限責任)
  • 社員の出資の目的およびその価額または評価の基準


②相対的記載事項
相対的記載事項とは、必ず定款に記載なければならないものではありませんが、規定する場合には必ず定款に記載しなければならない事項です。そのため、定款ではなく、単に社員同士で合意してのみでは効力は生じないので注意が必要です。

  • 業務執行社員に関する定め
  • 代表社員に関する定め
  • 持分譲渡に関する定め
  • 社員に相続及び合併が生じた際の特則
  • 利益分配の割合
  • 定款変更の方法の特則


③任意的記載事項
任意的記載事項とは、定款に規定することもできますが、定款に規定しなくても効力が生じる事項です。法令や公序良俗に反しない内容であれば、基本的にどのような事項でも定款に記載することができます。
任意的記載事項としては、事業年度や業務執行社員・代表社員の報酬についての定めなどが考えられます。

出資金の払込み

合同会社を設立する際には、定款に定めた出資金を払い込む必要があります。出資金の払い込みの手続きの流れは、以下のとおりです。

①社員になろうとする者の個人名義の口座への入金
出資金を社員になろうとする者の個人名義の口座に入金します。もし、社員になろうとする者が複数人いる場合は、代表者1名の口座へ入金することもできますし、各個人名義の口座に入金することもできます。

②「払込証明書」の作成
次に、払い込みのされた口座の通帳のコピーをとります。コピーを取る箇所は、通帳の表紙、表紙裏(支店名、口座番号、口座名義人が記載されているページ)、出資金の入金記録のあるページとなります。これらのコピーは別途作成する「払込証明書」と綴じ込みます。
「払込証明書」は、出資金が全額払い込まれたことや払込金額などを代表社員が証明する書類です。
なお、合同会社の場合は、通帳のコピーに代えて、代表社員の作成にかかる出資金領収書でも手続きすることが可能です。

設立登記申請

以上の手続きが完了したら、登記申請書やその他の必要書類とまとめてホチキスで留めて法務局へ提出します。

合同会社の設立にかかる費用

合同会社の設立には、以下の費用が必要となります。

  • 登録免許税6万円(資本金の額の7/1000が6万円を超えるときはその額)
  • 定款の印紙代4万円

そのため、資本金の額が約857万円までであれば、登録免許税は6万円で設立することができます。また、定款を紙で作成した場合には4万円の印紙税が必要となりますが、電子定款で作成した場合には、収入印紙を貼付する必要はありませんので、4万円の印紙代は省略することができます。

合同会社の設立登記申請書に添付する書類

合同会社の設立登記申請書には、以下の書類を添付して本店所在地を管轄する法務局へ提出します。

  • 登記すべき事項を記載した別紙

登記すべき事項とは、これから合同会社を設立するにあたって登記される内容を指します。本来は合同会社設立登記申請書に記載する項目ですが、登記すべき事項は内容が多いため別紙として作成することが一般的です。なお、登記すべき事項はCD-R等で提出することの他、オンラインによる提出も認められています。

  • 定款(公証人の認証不要)


  • 代表社員、本店所在地及び資本金決定書

定款で代表社員等を定めていない場合はこの書面を添付します。また、定款で本店所在地を最小行政区画までしか決めていない場合にも、本店所在地の地番までを決定した書面が必要となります。

  • 代表社員の就任承諾書

定款の定めに従い、社員の互選により、特定の社員を代表社員として選定した場合は、その代表社員の就任承諾書が必要となります。

  • 払込証明書


  • 資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書

金銭以外の現物による出資をした時に必要となります。

会社設立後の手続きについて

会社の設立後においては、以下のような手続きが必要となります。

  • 税務署への届出

会社を設立したときには、税務署へ次のような届出をしなければなりません。
「法人設立届出書」
「青色申告の承認申請書」
「給与支払事務所等の開設届出書」
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」

  • 自治体へ開業届の提出

都道府県に対する「法人設立届出書」

  • 社会保険関係

「健康保険・厚生年金保険新規適用届」(年金事務所)
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」(年金事務所)
「労働保険関係成立届」(労働基準監督署・ハローワーク)
「雇用保険適用事務所設置届」(ハローワーク)

合同会社設立では定款に定めて内容が重要

合同会社は、比較的簡単な手続きと安い費用で設立できる会社です。また、最近ではウェブサイトの情報も豊富なため、これらを参考に書類の作成をすることもできます。しかし、本来、会社の成立手続きや添付書類の作成は法律の規定に沿って行うものです。そのため、イレギュラーな形の設立の場合には、そのままでは通用しないこともあります。定款ではあらかじめ定めておかなければトラブルになること、不都合が出てくることなど事前に予想して定めておくことが重要です。そのような場合には士業など専門家のサポートを受けることをおすすめします。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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